米Zacks Investment Researchは4月29日、最新のアナリストレポートでマイクロソフト、ブロードコム、マクドナルドなどを注目銘柄として取り上げた。マイクロソフトはAI事業やCopilotの成長を追い風にしつつも、クラウド競争やライセンス収益減が逆風となっている。

一方、ブロードコムはAI向け半導体需要の拡大とVMware買収効果により業績を押し上げており、通期AI収益の44%成長を見込む。ただし、粗利率の悪化と高水準の負債が課題とされる。マクドナルドは新店舗展開を進める中、米国での客単価低下や中国・英国での不振がリスク要因に浮上。各社とも成長機会と懸念材料が交錯する状況であり、今後の業績動向には慎重な見極めが求められる。

AI分野で明暗分かれるマイクロソフトとブロードコムの業績構造

マイクロソフトとブロードコムは、いずれもAI関連ビジネスで注目を集めているが、その成長の中身とリスク構造には大きな差がある。マイクロソフトはCopilotの商用化とOffice 365の堅調な需要が収益を下支えする一方、Azure部門の伸び悩みと商用ライセンスの減速が懸念材料として挙げられている。Zacksの見通しでは、2025年度の売上高は前年比12.7%増を見込むものの、Google CloudやAWSとの競争激化が利益率を圧迫する可能性があるとされる。非AI分野では販売戦略上の課題も指摘されており、成長と同時に解決すべき課題が複層的に存在している。

一方、ブロードコムは第1四半期においてAI関連製品の需要拡大が際立ち、特にASICやXPUといったAIアクセラレータの販売が牽引した。第2四半期のAI収益は44%増の44億ドルが予想され、VMwareの買収によるソフトウェア事業の成長も収益基盤を支えている。ただし、収益構成の偏重や商品構成の変化による粗利率の低下が予見されており、財務上の課題として700億ドル超に及ぶ負債も重しとなる。成長性の高さと財務健全性のバランスが今後の焦点となる。

消費関連株に見るマクドナルドとKingsway Financialの戦略差

マクドナルドとKingsway Financial Servicesは、いずれも非テック企業として注目されるが、事業の構造と直面するリスクには明確な違いがある。マクドナルドは2025年中に世界で2200店舗を新規出店し、2027年までに5万店舗体制を目指す積極戦略を展開している。「Accelerating the Arches」構想のもとでメニュー改革と価格戦略を推進し、直近の株価は業界平均を上回る約10%の上昇を記録した。しかしながら、米国内での客単価低下や英国・中国での既存店売上減少が表面化しており、インフレ圧力によるコスト上昇も利益を削る要因となっている。アナリストによると、2025年の業績見通しにはやや慎重な修正が入っており、楽観一辺倒では評価できない状況にある。

一方、Kingsway Financialは時価総額約2億2800万ドルのマイクロキャップ企業でありながら、アセットライト型の事業モデルとSearch Fund戦略により着実な収益拡大を目指している。2024年の売上高は前年比5.9%増の1億940万ドル、EBITDAも前年比16.9%増と健闘した。Bud’s PlumbingやImage Solutionsの買収が収益基盤の多角化に寄与したが、純損失は依然として830万ドルに達し、ネットデットも1年で約48%増加している。保証事業の収益率低下やマクロ経済要因による統合リスクなどが、成長軌道の安定性に影を落としている。

MetaとCentury Communitiesに見る市場評価の分岐点

Meta PlatformsとCentury Communitiesは、ともに株式市場における期待と懸念の両極に位置する存在となっている。MetaはAIによる広告最適化と広範なユーザーデータを活用し、WhatsAppやInstagramを含むサービス群で広告収益を拡大している。2025年Q1の広告収入は前年比13.5%増の404億ドルが見込まれており、700万人を超えるMeta AI月間アクティブユーザー数がその潜在力を裏付けている。Zacksは「Hold」と評価する一方で、Reality Labs部門の巨額赤字(47億ドル)や投資コスト増大により、利益率面での懸念が根強い点を指摘している。また、PER水準の割高感も一部投資家の警戒を誘っている。

これに対し、Century Communitiesは住宅市場の逆風を強く受けており、建材コストの上昇と金利高により業績が低迷している。直近の四半期決算ではEPSが予想を22%近く下回り、株価は年初来で26%の下落となった。アナリストのコンセンサスEPS見通しも過去60日で14%引き下げられており、建設業界の低調な産業ランキング(下位16%)も合わせて、今後の回復には不透明感が強い。価格帯の下落と業績不振が同時進行する中、投資家の選好はより明確な成長ストーリーを描く企業にシフトしつつある。

Source:yahoo finance