マイクロソフトは2025年4月30日に第3四半期決算を発表予定であり、AIとクラウド分野の著しい成長が収益を力強く支える構図が鮮明となっている。アナリスト予想では、同社は前年同期比8.8%増の1株当たり3.20ドルの利益を計上する見込みで、Azureの収益成長は31〜32%、Microsoft 365 Copilotの導入拡大が生産性部門の収益を押し上げている。

特にAIサービスの年間収益は130億ドル超に達し、前年から175%という急伸を記録。過去4四半期連続で市場予想を上回ってきた実績も投資家心理を下支えしており、平均目標株価は490.75ドルと現水準から25%の上昇余地があるとの見立てがある。一方、為替の逆風やマクロ経済の減速懸念も残り、短期的な注意は必要だ。

AI事業の飛躍とクラウド収益がけん引するQ3決算予測

マイクロソフトは2025年4月30日の第3四半期決算において、クラウドとAI事業の強力な成長を背景に、前年同期比8.8%増の1株当たり3.20ドルの利益を計上する見通しである。特にAzureクラウドプラットフォームは、為替影響を除いた収益成長率が31〜32%と予想され、依然として同社の収益の柱であることが明らかだ。加えてMicrosoft 365を中心とした「プロダクティビティおよびビジネスプロセス」部門も堅調で、Office 365の法人向け需要がARPUを押し上げている。

また、AI分野ではCopilotを搭載したMicrosoft 365製品の急速な浸透が業績を支えており、18カ月で導入数が10倍に拡大した事例も報告されている。第2四半期にはAIサービスの収益が前年から157%増となり、現在では年間収益実行率ベースで130億ドルを超えるまでに成長。こうした実績は、過去4四半期連続で市場予想を上回る決算を出してきた同社の収益構造の強さを裏付ける。クラウドとAIの相乗効果によって、同社は依然として競争優位性を保っている。

一方で、為替変動や外部提携の変化による検索広告部門の成長鈍化など、いくつかのリスク要素も散見されるが、総じてクラウドとAIの成長力がそれらを凌駕する構図にある。収益ドライバーの多様性が、短期的な市場の不確実性に対する強靭性を確保する鍵となっている。

AI基盤拡充とパートナー戦略が示す成長の持続性

マイクロソフトのAI分野への注力は、もはや単なる一過性の戦略ではない。過去3年間で同社はデータセンター容量を2倍以上に拡張し、AI関連キャパシティを積極的に増強。CopilotなどのAIツール群が本格稼働する下地を築き、企業向けプロダクトの浸透を加速させている。このインフラ投資と開発体制の強化は、今後の収益基盤の安定性を支える要である。

特筆すべきは、Azureの成長のみならず、AIを中核に据えたソリューションが、マイクロソフトの事業全体を押し上げている点だ。たとえば、Microsoft 365 Copilotの導入が進むことで、商用クラウド部門全体のARPUが上昇し、ソフトウェア販売以上の継続的な収益構造を形成している。これにより短期的な市況変動に左右されにくい、強固な収益モデルが生まれつつある。

一方で、過度な期待による株価上昇には慎重な見方も必要である。アナリスト予想によれば、今後1年間の目標株価は490.75ドルとされており、現在価格から25%の上昇余地があるとされるが、実際の成長ペースが予想を下回ればセンチメントが反転するリスクもある。ただ、現段階においてはAIとクラウドを軸に据えた同社の中長期戦略が、他社に比して際立つ成果を挙げていることは疑いようがない。

他の企業と比較した場合のAI収益性や、AlphabetのGoogle Cloudのような指標も引き合いに出されているが、マイクロソフトは単に規模の拡大だけでなく、収益の質と多層性で抜きん出ている。この点が、投資家の信頼を維持している最大の理由である。

複数部門の安定成長と事業多角化が支える利益の耐久力

マイクロソフトの第3四半期決算見通しにおいては、クラウドやAIだけでなく、その他の主要部門もバランスよく成長している点が注目に値する。「プロダクティビティおよびビジネスプロセス」部門では、Office 365やMicrosoft Teamsの継続的な拡張により、11〜12%の収益成長が見込まれており、E5プランの採用増も商用クラウド収益の加速に寄与している。また、Microsoft 365 Copilot導入により、ユーザーあたり平均収益(ARPU)も引き上げられている。

検索広告分野では、EdgeおよびBingの市場シェア拡大を背景に、検索あたり収益が改善されており、トラフィック取得コストを除いた収益は10%台半ばの伸びが期待されている。ただし、為替の影響や広告パートナーとの関係正常化により、前四半期比では若干の成長減速も視野に入る。このように、短期的な変動はあるものの、検索広告は着実に利益源として機能し続けている。

ゲーム部門では、ハードウェア売上の落ち込みが予想される中で、ファーストパーティ製ゲームタイトルとXbox Game Passのサブスクリプションが収益を補完。全体としては1桁前半の成長にとどまる見込みだが、定額課金モデルによる安定収入の構築が進んでおり、事業基盤の変革期と見ることもできる。

このように、マイクロソフトはAIやクラウドという中核に加え、広告、ゲーム、ビジネスソフトウェアといった各部門を着実に運営しており、特定事業への依存を抑えることで利益の耐久力を高めている。分散された成長ドライバーを有する構造が、マクロ経済の不確実性に対しても一定の防御機能を果たしていることは明らかである。

Source:Barchart