インターネット基盤を支えるVeriSignが、2025年第1四半期決算で堅調な成長を示した。収益は前年同期比で約5%増の4億232万ドル、粗利益率は87.7%まで上昇し、EPSも9%増加。バフェットが長年保有を続ける理由として、.comと.netの独占管理権や、顧客獲得コストゼロの高効率モデルがある。

同社はドメイン更新による安定収益を核に、.netの価格改定やマーケティング強化による成長余地も保持。P/Eは31と割安ではないが、価格支配力と営業レバレッジに支えられた利益構造は長期投資にふさわしいとの見方が根強い。

バフェットが信頼を寄せる理由は「独占性」と「コスト構造」にあり

VeriSignがウォーレン・バフェットの長年の保有銘柄として選ばれてきた理由は明確である。同社は.comと.netドメインの独占的な管理権をICANNとの長期契約によって保持しており、ドメインの更新ごとに固定収益を得る仕組みを持つ。このため、ドメインが更新され続ける限り、安定したキャッシュフローが保証される構造が維持される。また、同社はドメイン販売を手掛けておらず、販売やマーケティングに係るコストがゼロである点も極めて特異である。GoDaddyなどのレジストラに販売を委託することで、VeriSign自身はドメイン管理に徹し、無駄なオペレーションを排除している。

こうした仕組みによってVeriSignは高水準の粗利益率を維持しており、2025年第1四半期には87.7%とさらに上昇した。さらに営業レバレッジの高さが効率的な利益成長を支えており、1株当たり利益(EPS)も9%増加という結果に結びついている。このような地味だが堅実なビジネスモデルは、成長株よりも安定を重視するバフェットにとって極めて魅力的な投資先となる。短期的な話題性や流行に左右されず、規律ある収益構造が続く限り、VeriSignはバフェット流の「内在価値に投資する」哲学に適う企業といえる。

価格改定の制限下でも成長を遂げたVeriSignの営業力

VeriSignの2025年第1四半期決算は、価格改定に制限がある中でも確かな成長を示した。同社は.comドメインについて2024年9月に年7%の価格引き上げを実施したが、ICANNとの契約上、この先2年間は再度の価格改定ができない状況にある。にもかかわらず、今期の収益は4億232万ドルと前年同期比で5%近く増加し、堅調な業績を維持している。これは、.netドメインの価格を2024年2月に10.91ドルへ引き上げたことや、新規登録件数が前年比で60万件増の1010万件に達したことが主な要因である。

また、同社はレジストラによるマーケティング活動の活発化を背景に、今後のドメインベース数の見通しを下方から上方修正している。当初の予測では最大2.3%減としていたが、現在は最大0.9%の成長見込みへと転じている。こうした改善は、直接的な価格引き上げに依存せずとも収益拡大を実現する営業戦略が機能していることを示している。ただし、.comにおける価格凍結が続く間は、.netの価格戦略や登録件数の拡大に依存する構図が強まるため、今後も柔軟な対応が必要とされる。

割高感を超える投資価値と長期的な収益性の確保

現在のVeriSign株は、将来予想ベースの株価収益率(P/E)が31に達しており、絶対的には割安とは言いがたい水準にある。それでも同社の株価は年初来で30%超の上昇を記録しており、投資家からの評価は高まっている。この背景には、同社が示す営業レバレッジとキャッシュフロー創出力の強さがある。2025年Q1では2億8600万ドルのフリーキャッシュフローを計上し、そのうち2億3000万ドルを用いて100万株の自社株買いを行っている。自社株買いを通じてEPSを押し上げ、株主還元を強化する姿勢は、長期保有を前提とする投資家にとって安心材料である。

一方で、成長の加速には限界も存在する。短期的には.com価格改定が封じられていることから、収益の飛躍的な増加は望みにくい。しかし、.netドメインの価格戦略や登録ベースの拡大、さらにはレジストラによる販促強化といった複数の成長要素が並行して作用する可能性がある。これにより、バリュエーションの高さを正当化できるだけの長期的な収益性を保持できるかどうかが焦点となる。成長は緩やかであっても、内在価値の着実な積み上げが継続される限り、VeriSignは依然として魅力的な保有銘柄と位置づけられる。

Source:The Motley Fool