ロビンフッドは2025年第1四半期に仮想通貨取引収益の減少が予想されている。JPMorganのアナリスト、ケン・ワージントン氏は、前四半期に700%増という異例の伸びを記録した反動と、市場全体のセンチメント低下を要因として挙げた。
ユーザーの仮想通貨取引額は710億ドルから520億ドルに減少したとされ、年初の上昇分を打ち消す「リスク回避」の動きが背景にある。加えて、マージン取引やデリバティブ取引の需要減退も影響すると指摘された。ワージントン氏は目標株価を45ドルから44ドルに引き下げ、中立評価を維持している。
仮想通貨取引量の急減と第1四半期業績への影響

ロビンフッドの仮想通貨取引量は2024年第4四半期に710億ドルを記録したが、2025年第1四半期には520億ドルに落ち込むと推定されている。JPMorganのアナリスト、ケネス・ワージントン氏は、この減少の背景に「リスク回避」姿勢の強まりを指摘している。仮想通貨市場全体のボラティリティが低下したことで、個人投資家の取引意欲が後退した可能性があり、前年末の活況とは対照的な状況が浮かび上がる。特に四半期後半の取引鈍化が顕著であり、1月の相場上昇による楽観ムードが持続しなかったことが影響したとみられる。
一方で、仮想通貨取引収益の700%急増という前期の反動要因も無視できない。短期的な上昇に伴う利益確定の動きや、規制環境への警戒感が取引意欲の抑制要因となった可能性もある。こうした市場動向は、ロビンフッドに限らずオンラインブローカー全体に影響を及ぼすと考えられ、今後の収益構造にも再評価が必要とされる。取引量減少は短期の収益圧迫だけでなく、顧客エンゲージメントの低下リスクも内包している。
株価目標の引き下げと投資家心理への示唆
JPMorganはロビンフッド株の目標価格を従来の45ドルから44ドルへと引き下げた。この変更はごくわずかな調整でありながら、投資家心理に与える含意は小さくない。実際の株価はおよそ49ドルと高値圏にあるものの、この下方修正は10%程度の下落余地があることを暗に示しており、楽観的な相場観に対して一定のブレーキをかける材料となる。ワージントン氏は評価を中立に据え置いているが、これは今後の業績次第では再度の目標値調整があり得るとの含みも持つ。
注目すべきは、今回の見通し修正が仮想通貨収益の先細りや市場の取引鈍化を理由としている点である。特にデリバティブやマージン取引における需要の低下は、他の証券会社でも同様の傾向が見られ、業界全体の構造的な変化を反映している可能性がある。投資家にとっては単なる価格目標の変動ではなく、ロビンフッドの収益源多様化の必要性、あるいは新たな成長戦略への期待と不安が入り混じる材料といえる。今後の決算結果と市場の反応は、個別銘柄だけでなくオンラインブローカー全体の方向性を占う試金石となろう。
Source:CoinDesk