Motorolaは2025年の新型Razrシリーズとして、Razr 2025、Razr Plus 2025、Razr Ultra 2025の3モデルを発表した。特にUltraは、7インチAMOLED折りたたみディスプレイやSnapdragon 8 Elite、16GB RAM、最大1TBストレージといった仕様で、Motorola史上最上位の折りたたみスマートフォンとなる。全モデルに共通する特長として、50MPの高性能カメラやAI機能「moto ai」が搭載され、通知要約や音声メモの自動記録など、実用性を重視した機能群が導入されている。

発売は5月15日で、価格はRazrが699ドルから、Ultraは1,299ドル。ヒンジ構造はチタン補強され、IP48の耐久性能を実現。カラーバリエーションも豊富で、レザーや木製素材を取り入れた高級感のある仕上がりが目を引く。昨年モデルからの進化は限定的だが、旧型や他社からの乗り換えには注目すべき選択肢となる。

7インチ折りたたみと最大1TBストレージを誇るRazr Ultraの到達点

Motorola Razr Ultra 2025は、シリーズ初となる7インチAMOLEDディスプレイを搭載し、折りたたみスマートフォンの限界に挑む構成となっている。Snapdragon 8 Eliteに加え、16GB RAMと最大1TBストレージという構成は、現在市場に出ているあらゆる縦型折りたたみ機種と比較しても圧倒的である。また、4,700mAhの大容量バッテリーと68W急速充電、30Wワイヤレス充電に対応しており、電池持ちと充電性能のバランスも高水準を維持している。さらに、50MPの高精細な自撮りカメラと広角対応のリアカメラを備えることで、写真・動画撮影の自由度も大きく広がった。

こうしたスペック群は、従来のRazrシリーズでは到達できなかった領域を明確に示しており、Motorolaがこの製品を2025年の象徴として位置付けていることがうかがえる。従来の「コンパクトな2画面端末」という印象から、性能重視のフルスペック端末へと大きく方向性を変えた印象を受ける。特にコンテンツ消費やゲーム用途において、これほど大型かつ高性能な折りたたみディスプレイの恩恵は非常に大きい。スペックだけを見れば、もはや「軽量スマホ」の域を超えたタブレットに近い存在といえる。

moto aiによるAIアシスト機能がもたらす操作体験の変化

2025年モデルのRazrシリーズには、Motorola独自のAIシステム「moto ai」が搭載されており、日常的な操作や情報管理のアプローチを一変させる仕組みが導入されている。具体的には、通知の中から重要な内容だけを要約してくれる「Catch me up」や、会議や会話を録音・記録する「Pay Attention」、さらにユーザーの音声を記録し内容を記憶する「Remember this」といった機能が実装されている。また、これらのAIはPerplexity、Meta、Gemini、Microsoft Copilotなどと連携可能で、最適なサポート内容をシステム側が判断して自動で選択する構造となっている。

これにより、従来の音声アシスタントとは異なり、ユーザーが何を選ぶかではなく、AIが必要な行動を予測し補助してくれるという、より高度なインタラクションが実現されている。ただし、AIの補助内容がどの程度まで個別に最適化されるかは、今後の利用環境やソフトウェアアップデートにも左右される部分があると考えられる。いずれにしても、単なるスペック強化にとどまらず、日常の操作体験そのものに変化をもたらす点が、このシリーズにおける最大の進化点といえる。

ヒンジ耐久性の向上とIP48による防塵防水仕様の意外な落とし穴

2025年モデルのRazrシリーズでは、新たにチタンで補強されたヒンジ機構が採用され、従来比で約4倍の耐久性が実現されたとされる。この構造変更により、折りたたみ部分の信頼性が大幅に高まると同時に、長期使用における劣化リスクも抑制される設計となっている。また、外装に使用される素材にもビーガンレザーや木材調パネルを採用するなど、質感と堅牢性を両立させる工夫が見られる。

一方で、従来モデルのIP52に対し、本モデルではIP48に変更されたことで、防水性能がわずかに後退している点は見逃せない。特に、水回りでの利用が想定される場面では、IPX8相当の耐水仕様を持つ競合機に対し若干の不安を残すことになる。ただ、あくまで折りたたみ機構の耐久性を優先した判断と捉えることもでき、ヒンジ性能の向上と引き換えに選ばれたバランス設計の一例といえる。どの機能に価値を置くかによって、評価が分かれる仕様となっている。

Source:Android Headlines