Microsoftは、Outlookの「Ctrl + Alt + V」ショートカットが無効化される不具合と、カレンダー表示の空白問題に関する修正を正式に発表した。原因は2024年8月にWord側で導入されたショートカットの仕様変更にあり、OutlookがWordとショートカットコードを共有している構造が影響していた。修正プログラムは2025年5月からBeta Channelで順次提供され、Current Channelでは6月下旬に適用予定とされている。

これに先立ち、Microsoftは「Alt + HVS」ショートカットの利用やリボン経由の操作を一時的な回避策として推奨しているほか、レジストリ操作によるBeta Channel移行も案内している。また、複数カレンダー表示で空白になる問題については、サービス側の変更により既に対応済みとなっており、Outlookの再起動で改善が反映されるという。頻発する類似トラブルへの継続的な対応が今後も重要視される。

Wordの仕様変更がOutlookの基本操作に影響、6月下旬にようやく修正提供へ

Outlookのクラシック版で、「Ctrl + Alt + V」による形式を選択して貼り付ける操作が無効になる不具合が発生した。影響を受けたのはMicrosoft 365のCurrent Channelユーザーで、対象バージョンは2503 ビルド18623.20156。原因は2024年8月にWordチームが導入したショートカット関連の変更で、OutlookがWordと同じショートカット定義を参照していたことが障害につながった。すでに修正プログラムは開発済みで、2025年5月にBeta Channelから、6月初旬にCurrent Channel Preview、6月下旬に正式提供という段階的な配信が予定されている。

一方で、Microsoftは回避策として「Alt + HVS」によるアクセスや、リボンメニューからの手動操作を推奨しており、急ぎの場合はレジストリ変更を通じたBeta Channelへの移行も案内している。このような基本機能のトラブルが発生すると、業務効率への影響が避けられず、早期の対応が求められる。WordとOutlookのコード基盤の共有による副作用とみられ、今後も関連機能への波及が起きる可能性には留意が必要である。

カレンダー表示の不具合にも対応、Outlookの信頼性確保が問われる局面に

Outlookで複数のカレンダーを表示した際に、表示領域が空白になる問題も報告されていたが、こちらはサービス側の変更によってすでに解決済みとされる。影響を受けていたのは、クラシック版Outlookを利用し、複数カレンダーを同時表示していたMicrosoft 365ユーザー。Microsoftはこの問題についても公式に認識しており、Outlookの再起動によって修正が自動適用される仕組みが取られている。

Outlookではこれまでも、「Ctrl + C」でのコピー時のフリーズ(2025年1月)や、メッセージ入力時のCPU使用率の異常上昇、ドラッグ&ドロップ不具合など、頻繁に安定性に関わる問題が発生してきた。これらが短期間に続発していることは、信頼性への疑問を生じさせる要因となりうる。ソフトウェアの仕様変更や新機能の追加が連動的に不具合を生む傾向があるため、機能ごとの影響範囲の見極めと事前検証の徹底が今後の課題といえる。

回避策としてのBeta Channel移行とレジストリ操作、その手順と留意点

今回の形式貼り付け不具合における恒久的な修正が6月下旬までずれ込む中、MicrosoftはBeta Channelへの移行という暫定的な対応策を提示している。この手法ではレジストリエディタを用いたコマンド入力が必要であり、正確な手順を踏むことで、開発中の修正を先行して受け取ることができる。ただし、Beta Channelはテスト要素を多く含むため、導入環境によっては他の予期せぬ動作が発生する可能性もある。

具体的には、「管理者として実行」したコマンドプロンプトで、Office UpdateのブランチをBeta Channelに変更するレジストリキーを追加した後、Officeアプリの更新操作を行う手順となる。高度な操作を含むため、通常の利用者にとっては敷居が高い一方、企業環境や業務上の影響を避けたい場合には実用性が高い。正式修正までの期間をどう乗り切るかが問われる中、この選択肢が柔軟な回避策として注目される状況にある。

Source:BleepingComputer