Appleは2025年4月11日、Powerbeats Pro 2に関してEU知的財産庁から10件の意匠特許を取得した。対象はイヤホン本体、充電ケース、およびそれらを組み合わせたデザインであり、製品の独自性を守る知的財産戦略の一環とみられる。
加えてAppleは、画像編集アプリに関連するPixelmatorとPhotomatorという名称について、米国および香港で商標登録を申請。これは同社が今後ソフトウェア領域でブランド構築を進める意図を示す動きと解釈できる。
欧州での意匠保護と並行してグローバルな商標確保に乗り出す姿勢は、Appleがハード・ソフトの両面で一貫した製品戦略を強化しようとしていることを物語っている。
Powerbeats Pro 2の意匠特許が意味するAppleの設計思想の一貫性

Appleは2025年4月11日付で、Powerbeats Pro 2のイヤホン、充電ケース、およびその組み合わせに関する計10件の意匠特許をEU知的財産庁から取得した。対象となった意匠は、ハードウェアの外観的特徴に関するものであり、同社が製品設計においてミリ単位での差異すらも保護対象と見なしている姿勢が浮き彫りとなる。
特に注目すべきは、単体部品のみならず製品全体の統合デザインも個別に登録された点である。これはAppleが単なる機能性だけでなく、製品の「印象」や「一体感」までも知的財産の枠内に取り込もうとする構造的戦略を採っていることを示している。
模倣品対策という実務的側面の裏にあるのは、ブランド価値の徹底した維持と拡張である。Apple製品における「見た目」の統一性は、ユーザー体験を担保する重要な要素であり、それ自体が製品競争力となる。同時に、知財保護の網を広げることで、訴訟リスクの最小化やライセンス交渉における優位性を築く狙いもあるだろう。
このような特許取得の動きは、単なる法律上の防御策にとどまらず、Appleの事業戦略における設計思想の深層に根ざしているものと見なせる。
PixelmatorとPhotomatorの商標申請に見るAppleのソフトウェア戦略の転換点
AppleはPixelmatorおよびPhotomatorという名称について、2025年4月10日に米国特許商標庁(USPTO)へ、翌11日に香港知的財産局へ商標登録を申請した。これらは従来、macOSやiOS向けに画像編集アプリを展開してきたPixelmator Teamのプロダクト名であるが、Apple自身がその名称の商標を申請したことは、ソフトウェア戦略の方向転換または新規提携の布石と解釈される可能性がある。
単なるアプリ内統合ではなく、今後Appleブランドとしての再構築や標準搭載の布石といった展開を見据えた動きにも映る。この動きは、Final Cut ProやLogic Proといった既存のプロ向けアプリケーション群に続き、画像編集領域においてもブランド一貫性を高める試みと捉えることができる。
近年、iPadやMacでのクリエイティブ作業の需要が高まりを見せる中で、Appleがソフトウェアラインの整理と強化に乗り出すことは理にかなっている。また、米国と香港の同時申請という動きは、グローバル市場でのブランド統一を視野に入れた戦略の一端とも取れる。
Appleがハードウェアに加えてソフトウェア領域でも確固たる独自生態系を築こうとする意図が、商標戦略という形で明示された格好である。
Source:Patently Apple