AMDがRDNA 4世代の新GPU「RX 9060 XT」を5月21日のComputexで発表するとの報道が浮上している。中国メディアBenchlifeによると、同製品はRX 9070の下位モデルに位置づけられ、実際の発売は6月と見込まれている。AMDは第2四半期内のリリースを明言しており、6月投入はその期限と一致する。さらに、16GB/8GBの2モデル展開という観測に対し、8GB版のキャンセルも取り沙汰されており、最終的な仕様に注目が集まる。

発表タイミングはNvidiaのRTX 5060(5月19日発売見込み)に合わせた動きとされ、同Tiモデルとの競合を意識した構成になる可能性もある。製品戦略として価格とメモリ構成が鍵を握るとみられ、アジア市場で先行するRX 9070 GREとのすみ分けも今後の焦点となる。

RX 9060 XTは5月21日発表の可能性 Computex基調講演と時期を一致させた戦略的意図

AMDの新型GPU「RX 9060 XT」が5月21日のComputexにて正式に発表される可能性が浮上している。情報源となった中国メディアBenchlifeは、AMDが同日に行う基調講演で本製品を発表する計画であると伝えており、これは5月中旬とされていた従来の見通しと一致する。

また、AMDは2025年第2四半期中にRX 9060を市場投入する意向を既に明かしており、6月の発売はその期末に合致する。この一連の動きは、同月に販売が予定されるNvidia RTX 5060との市場競争を意識したものである可能性がある。

ただし、現段階で判明しているのは発表日程の予測にすぎず、販売開始は6月にずれ込むと見られている。加えて、この情報は中国語から翻訳されたものであり、誤訳や解釈の違いも生じ得る。したがって、報道を受けての過度な先走りは避けるべきであり、正式なリリース情報の確認が必要である。とはいえ、AMDがComputexを自社の主力製品発表の場として活用する傾向にあることからも、今回の発表タイミングは合理性を伴っていると捉えられる。

RX 9060 XTのスペックと構成に関する不透明性 メモリ仕様と価格の動向に注目

RX 9060 XTに関しては、RDNA 4アーキテクチャを採用した次世代GPUとしての位置づけが濃厚であり、上位モデルであるRX 9070の下位に当たるとされている。メモリ容量については、過去の情報では16GBと8GBの2モデル構成が検討されていたが、直近では8GB版が投入前に中止される可能性が指摘されている。これは、競合であるNvidia RTX 5060 Ti(8GB)の評価を受け、AMDが価格性能比に対して柔軟な対応を取った結果と見る向きもある。

製品の価格設定は依然として明らかにされていないが、同GPUがミドルレンジ帯に投入される見込みであることを踏まえれば、競合製品との価格差が市場の評価を大きく左右する要素となるだろう。

特に、RTX 5060が5月19日に市場投入されるという情報がある中で、RX 9060 XTがどの程度の性能と価格でそれに対抗するのかが重要な関心事項となる。消費者および業界関係者は、スペックの確定と価格情報の開示を待ちつつ、次の一手を慎重に見極める局面にある。

アジア市場向けRX 9070 GREとの住み分け 先行投入と地域戦略の交錯

RX 9060 XTの登場に先駆けて、AMDは中国市場限定で「RX 9070 GRE」を5月8日に投入する計画を発表している。GRE(Golden Rabbit Edition)モデルは過去にも地域限定で展開された前例があり、今回もグローバル展開の予定は現時点で示されていない。こうした展開は、特定地域での市場需要に迅速に応じるAMDの柔軟な戦略を示しているが、一方でグローバル市場との棲み分けや製品ラインの整合性に課題を残す面もある。

RX 9070 GREの先行発売によって、中国市場におけるRDNA 4世代の浸透が早期に進む可能性がある一方、RX 9060 XTのグローバルリリースが遅れることで、他地域の競争環境に不均衡が生じることも想定される。AMDにとっては、各市場のタイミングと需要に即した製品供給をどう最適化するかが鍵となる。特に、Nvidiaとの真っ向勝負となる欧米市場では、投入時期とラインナップの明確性がユーザーの評価と購買行動を大きく左右することになるだろう。

Source:TechRadar