2025年のロンドンマラソンを2時間26分48秒で完走したランナーが、Apple Watch Ultra 2とGarmin Fenix 8の両方を装着してパフォーマンスを検証した。GPSの精度では両モデルとも高水準を維持し、特に市街地でもトラッキング性能に大きな差は見られなかった。一方で心拍数の計測ではFenix 8が正確さで優位に立ち、Apple Watchは前半の測定で課題が残った。

また、バッテリー持続時間でもGarminが84%残して完走後も数日使用可能としたのに対し、Apple Watchは67%とやや短めだった。価格差を考慮しても、機能面で選ぶか拡張性や汎用性で選ぶかが評価の分かれ目となる。

ロンドン市街地で示されたGPS精度の実力差

2025年のロンドンマラソンにおいて、Apple Watch Ultra 2は42.26km、Garmin Fenix 8は42.47kmと計測し、いずれも公式距離42.195kmに非常に近い数値を記録した。コーナリングや人混みの回避を考慮すれば、両モデルとも高精度なGPS性能を備えていることが実証された。特に問題が起こりやすいカナリー・ワーフ付近でもトラッキングに大きな乱れは見られず、Garminはわずかに優れた軌跡を残した。ペース設定やラップ通知の精度に関しても両機は拮抗しており、デュアルバンドGPS技術の進化を体感できる内容であった。

GPS精度に大きな優劣はないものの、Fenix 8の結果は長年スポーツシーンで信頼されてきた同ブランドの実力を改めて示すものとなった。一方でApple Watch Ultra 2も、従来の一般的なスマートウォッチの枠を超える精度を披露し、価格以上の性能を実感させた点は注目に値する。都市部での使用においても信頼性の高いデータが求められる中、どちらのデバイスも実用的な選択肢となることは間違いない。

心拍センサーの精度におけるレース序盤の差異

レース当日、胸ベルト心拍計は使用されなかったが、過去のトレーニング経験からおおよその心拍の推移パターンは把握されていた。その中でGarmin Fenix 8は、心拍の上昇からフィニッシュ直前のピークに至るまで、期待通りのグラフを描いた。一方でApple Watch Ultra 2は、レース前半において心拍を正確に捉えられず、表示されないか異常に高い値を示す場面が散見された。約1時間が経過したあたりから数値は安定し、Fenix 8と同等の精度に戻ったが、序盤の不安定さは見過ごせない要素である。

心拍データはトレーニングやペース管理にとって非常に重要な指標であり、特にレース中のリアルタイムな変化を正確に捉えることが求められる。Garminの安定性は、長年にわたるアスリート向け機能開発の積み重ねによるものと考えられる。一方でApple Watchは、運動強度の変化が激しい序盤での精度に課題が残った可能性がある。今後のソフトウェアアップデートやセンサーアルゴリズムの改良によって改善が期待されるが、現時点では運動中の計測信頼性においてFenix 8に一日の長があると言える。

バッテリー残量の差が示す運用スタイルの違い

両デバイスは前夜に満充電された状態でレースに臨んだが、マラソン完走後に確認されたバッテリー残量はGarmin Fenix 8が84%、Apple Watch Ultra 2が67%であった。どちらも最も高精度なGPSモードと常時表示を有効にしていたことから、消費電力の差がそのまま設計思想の違いを表している。Fenix 8はこの後も数日間は充電不要と見込まれており、アクティビティ後の余力にも余裕がある。対してUltra 2は明るい大画面や多機能性の代償として電力消費が高めであり、2日程度の運用が限界となる可能性がある。

この違いは単なる持続時間の比較ではなく、日常使用における適応力や運用リズムにも関係してくる。週に数回のトレーニングや連日長距離を走る習慣がある場合、充電の頻度が少ないGarminのアプローチは有利に働く。一方、日常生活とトレーニングの両立を図りつつ、スマート機能や通知を重視したい層にはApple Watchの設計が適していると考えられる。どちらの使い方にも理があり、求めるライフスタイルによって選択の優先順位が変わってくる点が興味深い。

Source:Tom’s Guide