AMDが未発表のRDNA 4アーキテクチャを搭載するモバイルGPU「Radeon RX 9000」シリーズの詳細仕様が、著名リーカーAll_The_Wattsにより事前流出した。明らかとなったのは、最上位のRX 9080Mから、軽量ノートPC向けとされるRX 9060Sまで6種類のSKUである。RX 9080Mは完全なNavi 48ダイを採用し、64基のCU、16GBのGDDR6、64MBのInfinity Cacheを搭載するとされ、RTX 5080ノートPCとの競合を想定した設計が見て取れる。
RX 9070シリーズにはNavi 48と44をベースとした複数モデルが存在し、それぞれRTX 5070 Tiおよび5070への対抗が意識された構成である。RX 9060シリーズも同様に、RTX 5060と性能帯で重なる仕様が示されているが、最終的なクロックや消費電力については依然として不明な点が多い。なお、過去の事例から見ても、AMD製モバイルGPU搭載機種は供給量が限られやすく、今後の流通状況が注視される。
RDNA 4世代のフルラインアップが示すAMDの性能帯戦略の全貌

2024年12月にリークされた情報により、AMDはRDNA 4アーキテクチャを搭載したノートPC向けGPU「Radeon RX 9000」シリーズの複数モデルを開発中であることが明らかになった。上位から順にRX 9080M、RX 9070M XT、RX 9070M、RX 9070S、RX 9060M、RX 9060Sの6種が確認されており、Navi 48とNavi 44という2種のGPUダイを基盤に、それぞれ異なる性能・筐体ニーズに対応したSKU構成が取られている。
最上位のRX 9080Mは64CU、16GB GDDR6、64MBのInfinity Cacheを搭載し、RTX 5080ノートPCへの対抗モデルとされる一方、RX 9060SなどはRTX 5060クラスに匹敵するエントリースペックを備えている。これらはTDPやクロック周波数などの詳細は未公開ながら、明確な性能レンジごとの棲み分けが設計思想として見受けられる。
AMDが従来のモバイルGPU市場で苦戦してきた背景には、対応ノートPCの少なさと供給面での制約があった。RX 7900Mを搭載したAlienware m18 R1のような高性能機種も例外ではなく、入手困難な状態が続いている。
今回のRDNA 4世代においても、仮にスペックが市場期待に応える内容であったとしても、同様の調達課題が残る可能性は否定できない。市場におけるインパクトを最大化するには、技術仕様の優位性だけでなく、OEMとの連携強化や供給能力の改善が不可欠である。各SKUの登場は、単にGPU競争にとどまらず、ノートPCプラットフォーム全体の競争環境に与える影響も視野に入れるべきである。
RX 9080MとRX 9070シリーズが象徴する性能ターゲットの明確化
リーク情報によれば、RX 9080Mはデスクトップ向けRX 9070 XTに匹敵する構成を持ち、完全なNavi 48ダイを採用しているとされる。64基のコンピュートユニット、16GBのGDDR6 VRAM、64MBのInfinity Cacheという仕様からは、明らかにハイエンド志向のノートPC市場を標的としており、NVIDIAのRTX 5080搭載機種との競合を意識した設計と見ることができる。
一方、RX 9070M XTはNavi 48のカットダウン版、RX 9070MはNavi 44を基盤とすることで性能とコストのバランスを図り、前者はRTX 5070 Ti、後者はRTX 5070ノートPCを意識したポジショニングと推測される。これらの中間帯SKUは、ユーザーにとって価格と性能の最適解を提供する役割が期待される。
さらに、RX 9070SはRX 9070Mと構成を共有しつつも、TDP制限により薄型ノート向けに特化したモデルとして設計されている模様である。これは、消費電力や発熱制御を重視するモバイル市場特有の要請に対する応答であり、AMDが単なる性能競争だけでなく製品設計全体での調整を試みている証左とも言える。ただし、こうした分化戦略が市場で機能するかは、実際の筐体採用例やベンチマーク結果が明らかにならない限り判断が難しい。AMDはスペック上の競争力に加えて、ブランドの信頼性や実機供給体制を通じて評価の定着を図る必要がある。
RX 9060シリーズに見る薄型ノート市場への戦略的浸透
シリーズ下位に位置するRX 9060MおよびRX 9060Sは、28基のCU、8GBのGDDR6、32MBのInfinity Cacheを備えたNavi 44のさらに簡素化された仕様で構成されている。これは、RTX 5060クラスのGPUと競合する性能水準を狙った製品であり、ミドルレンジからエントリークラスのノートPC市場での採用を視野に入れている構成といえる。特にRX 9060Sは、RX 9060Mと同一のアーキテクチャでありながら、軽量・薄型設計に最適化された派生モデルと見られており、モバイル設計に対するAMDの戦略的対応を体現している。
これまでのAMDモバイルGPUは、性能面では競争力を持ちながらも、熱設計や電力効率、OEMとの協業体制においてNVIDIAに後れを取っていた側面がある。RX 9060シリーズの存在は、こうした課題に対してより柔軟なSKU構成と製品適用性を示す試みであると捉えることができる。
ただし、これらが広範に採用されるか否かは、価格帯と性能バランス、そして設計に応じた放熱設計の調整がどこまで行き届いているかによって大きく左右されるであろう。AMDにとっては、技術面での進化を製品流通と実績に転化できるかが真の勝負どころとなる。
Source:NotebookCheck