ローゼンブラット・セキュリティーズは、Arista Networks(ティッカー:ANET)の格付けを「売り」から「中立」へと引き上げた。ホワイトボックス製品の競争力低下という関税環境の変化がAristaに有利に作用し、同社の市場ポジション強化と収益予想の堅調さがその判断の背景にある。特に「リニアドライブ・プラガブル・オプティクス」対応の製品が差別化要因となっている。

また、AI関連契約ではMicrosoft、Oracle、Alphabetと数億ドル規模の案件が進行中で、2025年の収益目標を支える。Metaによる採用も含め、AI分野でのプレゼンスが顕著に拡大している。株価は直近で大幅上昇しており、PER水準から見ても割高感は限定的である。こうした要素は、今後の株価再評価の可能性を示唆するが、ガイダンスとの乖離や利益率の変動に対する警戒感も残る。

関税政策の変化がAristaの競争優位性を再定義する構図

米中間の貿易摩擦を背景とする関税の見直しは、ホワイトボックス・スイッチ市場における競争環境を大きく変容させつつある。特に、中国製品に対する関税の増加が、価格競争力の低下という形で表面化し、これまで低価格戦略で優位に立ってきたアジア系ベンダーに逆風をもたらしている。この結果、Arista Networksが提供する高機能スイッチ製品への関心が相対的に高まりつつある。

ローゼンブラット・セキュリティーズのマイク・ジェノヴェーゼは、Arista製品のリニアドライブ・プラガブル・オプティクスとの互換性を指摘し、他社との差別化が図られている点を強調する。これは、単なる価格競争ではなく、通信効率や柔軟性を重視する企業のニーズに合致する構成であり、価格ではなく性能と信頼性が評価基準となる局面である。

この関税の影響によって、製品調達の構造が「コスト重視」から「価値重視」へと移行する可能性があるが、それは同時にAristaにとっては収益性の高い顧客基盤の拡大という恩恵をもたらす。短期的には代替供給源への移行過程での不確実性も考慮されるが、中長期的にはサプライチェーンの脱中国依存という潮流と整合し、同社にとって追い風が続く地合いにあると考えられる。

Aristaによる大手テック企業との契約進展が業績に寄与

Arista Networksは、2025年以降の業績見通しにおいて、Microsoft、Oracle、Alphabetといった大手クラウド事業者との大規模契約が収益成長の核となっている。Microsoftとの契約は数億ドル規模とされ、OracleやAlphabetからもそれぞれ1〜2億ドル規模の案件が想定されている。これにより、同社が掲げるAI関連バックエンド収益の年間目標7億5,000万ドル達成に対する現実味が増している。

特筆すべきは、Meta PlatformsのAIクラスターにおいてArista製のイーサネットスイッチが採用された点である。これは技術的信頼性が確立されている証左であり、AIインフラ市場における評価が飛躍的に高まったことを意味する。また、こうした導入実績が新たな契約獲得の呼び水となり、今後の収益ストリームの安定性と拡張性に寄与すると見られる。

一方、こうした大口契約への依存度が高まることは、単一顧客リスクの顕在化や、契約更改時の価格圧力といったリスクも含んでおり、慎重な注視が求められる。ただし、これら顧客群の多様性と契約期間の分散性が担保されれば、成長ドライバーとしての信頼性は引き続き高い水準を保つ可能性がある。

AI市場拡大と共に進化するAristaの財務指標と株式評価

2025年のAristaの業績ガイダンスは、売上高19億3,000万〜19億7,000万ドル、Non-GAAP粗利益率約63%、営業利益率約44%とされている。2026年にはEPSが前年比16.7%増の2.58ドルに達する見通しであり、AI需要の高まりを背景とする成長加速が数字に現れている。こうした定量的な進展は、株価評価にも反映され始めている。

足元の株価は将来予想利益の32.43倍で取引されており、業界平均と比較すれば高水準ながらも、同社の過去5年平均と整合する評価である。加えて、ウォール街のアナリスト20人中13人が「Strong Buy」との強気姿勢を示しており、目標株価の中央値は112.22ドル、最も高い予想では145ドルが提示されている。

とはいえ、第4四半期決算発表時にはガイダンスの弱さが嫌気されて株価が一時6%以上下落しており、将来的な成長性と短期的な期待値との乖離には警戒感も残る。今後の市場反応を左右するのは、ガイダンスに対する実績の上振れと継続的な契約進展であり、これが確保されれば、株価は再評価局面に入る可能性がある。

Source:Barchart