AIサーバー大手Super Micro Computer(SMCI)の2024年第3四半期業績が市場予想を大幅に下回ったことで、密接な関係にあるNvidia(NVDA)の株価が連れ安となっている。SMCIは、顧客の注文延期や旧製品の在庫増加に直面しており、Nvidiaチップを搭載するHopper世代製品から、次世代のBlackwell展開待ちへと市場の関心が移行している可能性が示唆されている。
これに加えて、米国の対中輸出規制が第1四半期利益に55億ドル規模の悪影響を及ぼす恐れもあり、Seaport社はNVDA株に対して異例の「売り」評価を提示した。一方で、多くのアナリストはなお強気姿勢を保っており、目標株価を167ドルとし、現在値から約60%の上昇余地を見込んでいる。
Supermicroの業績悪化がNvidia株に波及した構造的要因

2024年第3四半期、Super Micro Computer(SMCI)が発表した予備決算は、AI関連市場における供給チェーンの脆弱性を露呈させた。同社は「旧世代製品の在庫増加」および「顧客によるプラットフォーム選定の遅延」により業績が市場予想を大幅に下回ったと述べている。
SMCIはNvidiaのAIチップを搭載したサーバーの主要サプライヤーであるため、その業績は直接的にNvidiaの売上と市場評価に反映されやすい構造となっている。特にHopper世代を中心とした製品群への依存が、次世代Blackwellチップの登場を前に、顧客の様子見姿勢を強めた格好である。
Evercore ISIのアミット・ダリアナニ氏は、これらの注文延期が「Blackwell世代の展開を待つ顧客の動向によるもの」と分析しており、これはNvidiaにとって短期的な収益成長の停滞要因と見なされる。一方で、次世代製品が市場に浸透すれば、AI関連インフラ投資の再加速につながる可能性もあるため、SMCIの一時的な失速が長期的にNVDA株の下落を意味するとは限らない。とはいえ、目先の調整局面では、ハードウェア依存の事業モデルが市場心理に与える影響がより強く現れやすい点は看過できない。
米中対立の余波とSeaportによる「売り」評価が投資判断を複雑化
Nvidiaは現在、米国政府による中国への輸出規制という外部要因にも晒されている。特に、トランプ前大統領政権下で制定された対中輸出制限により、H20チップを含む一部の製品が影響を受けており、同社は第1四半期の利益に最大で55億ドル規模の損失が出る可能性を警告している。
こうした地政学的リスクが顕在化する中で、証券会社SeaportはNvidia株に対して異例の「売り」評価を発表し、目標株価を100ドルに設定した。これは現在の株価水準から約5%の下落を想定している水準である。
Seaportのアナリスト、ジェイ・ゴールドバーグ氏は「AI投資ブームの恩恵は既に株価に織り込まれている」とし、過熱感を警戒する姿勢を示している。ただし、この評価は少数派であり、Barchartによるとウォール街全体では依然として「強い買い」評価が支配的で、平均目標株価も167ドルとされている。これは、現在の株価から約60%の上昇余地があるという見方に基づくものである。よって、現在の投資判断は、短期的な規制リスクと長期的なAI需要拡大のバランスをどう捉えるかにかかっている。
Source:Barchart