エリック・トランプはドバイのCNBCイベントに登壇し、従来型の銀行システムが「壊れている」と断じた上で、ブロックチェーンを中心とする新たな金融基盤が急速に拡大している現状に言及した。彼は、SWIFTなど既存の送金ネットワークが高コストかつ非効率であると批判し、仮想通貨と分散型金融が提供するスピードと透明性が金融の未来を決定づけると論じた。

同氏はまた、アメリカでは規制の遅れが技術革新に対する障害となっていると示唆しつつ、UAEのような柔軟な規制環境が仮想通貨を加速させる背景にあると指摘した。一方で、トランプ政権下では国家のビットコイン備蓄構想やミームコインの導入など、野心的かつ物議を醸す取り組みも展開されている。金融大手の一部はデジタル資産導入を進めているが、その変革のスピードが旧来の銀行体制の存続を保証するには不十分である可能性も否定できない。

米国金融システムの非効率性を批判 エリック・トランプが語る仮想通貨の優位性

エリック・トランプは、ドバイで開催されたCNBC主催のイベントにおいて、現行の金融ネットワーク、とりわけSWIFTに代表される国際送金システムの遅延と高コスト構造を糾弾した。彼は、従来の銀行サービスが技術進化に対応しきれていないと指摘し、その限界を浮き彫りにした。

代替手段として挙げられたのが、ブロックチェーンと分散型金融(DeFi)であり、これらは仲介業者を不要とし、即時性と低コスト性を両立すると強調された。トランプ氏は、「ブロックチェーンでできないことはない」と断言し、その透明性やセキュリティも既存金融を上回るものだと述べた。

この発言の背景には、米国金融当局による過度な規制と技術革新への遅れがある。規制強化が進む中で、イノベーションの足かせとなる構造的課題が浮上している。エリック・トランプの見解には、変化を恐れる金融機関に対する挑発とも取れる姿勢が見られ、従来の金融秩序の根底を揺るがすような警鐘が含まれている。従って、発言の裏には、米国金融界が直面する改革圧力と、それに対応しきれない体制の脆弱さが色濃く映し出されている。

トランプ政権の仮想通貨戦略と倫理的懸念 国家備蓄からミームコインまで

2025年3月、ドナルド・トランプ大統領が署名した大統領令により、連邦政府は20万ビットコインを活用した戦略的備蓄の創設に踏み切った。この措置は、国家レベルでの仮想通貨統合の象徴であり、デジタル資産を財政基盤の一角に据えるという大胆な方針を示すものである。一方、$TRUMPミームコインの立ち上げやトークン保有者向けの特典付きディナーといった施策は、特定層への利益供与という観点から強い批判を浴びている。「ペイ・トゥ・プレイ」的構図への懸念は、倫理的問題として政権に影を落としている。

このような試みは、仮想通貨を単なる投資対象としてではなく、政治的・戦略的ツールとして利用する姿勢を物語る。しかし、この路線が長期的に信頼性と公正性を損なうリスクを内包している点は見過ごせない。金融と政治が密接に絡み合う中、ガバナンスや透明性が問われる局面も増加するだろう。こうした現象は、単なる技術革新ではなく、制度そのものの再設計を促す必要性を突きつけていると言える。

大手銀行も動き始める中で問われる適応力 JPモルガンとゴールドマンの戦略的選択

JPモルガン・チェースは、自社開発した仮想通貨トークンを通じて1日10億ドル超の取引を処理するまでに至っており、金融業界の中でも先進的な取り組みを進めている。ゴールドマン・サックスも、仮想通貨を中核に据えた資産形成に着手しており、数十億ドル規模のデジタル資産を保有する体制を構築中である。これらの動きは、金融業界が既存の枠組みを超え、デジタル領域へと舵を切りつつある兆候を示している。

しかし一方で、全ての金融機関がこの潮流に乗れているわけではない。規模や経営戦略、規制対応力の差が、適応スピードに顕著な格差をもたらしている。とりわけ、ピア・ツー・ピア(P2P)の金融取引が広がれば、長年にわたり機能してきた仲介者の役割は根本的に揺らぐ可能性がある。エリック・トランプが警告したように、技術革新を過小評価した銀行は、10年以内にその存在意義を失う恐れも否定できない。変化を恐れる体質が、今まさに試されている。

Source:Barchart