ウォーレン・バフェット率いるバークシャー・ハサウェイが1988年から保有を続けるコカ・コーラ株が、36年間で2824%という驚異的なリターンを達成した。平均取得価格2.45ドルで約2335万株を保有し続け、現在の株価71.70ドルまで上昇。加えて累積された配当金の再投資も総リターンを大きく押し上げた。
この長期投資の成果は、短期的な市場の波に左右されず、安定的な需要と連続配当という銘柄の本質を見抜いた視点の賜物といえる。コカ・コーラは2024年末時点でバークシャーの資産構成の9.3%を占める主要銘柄であり、その信頼の厚さが浮き彫りとなった。
バフェットのポートフォリオ全体も2009年から2024年にかけて年率13.33%で成長し、S&P500のCAGR12.78%を上回る成果を残したことが、長期的な投資哲学の有効性を裏付けている。
コカ・コーラ株保有による累積リターン2824%の構造

バークシャー・ハサウェイが1988年に取得したコカ・コーラ株は、当初約2.45ドルで2335万株購入された。これが株式分割を経て現在の71.70ドル(2025年4月30日時点)となり、株価だけで2824%の上昇を記録している。加えて、この長期保有により受け取った累積配当金も莫大で、全額を再投資していることから実質的なトータルリターンはさらに大きく膨らんでいる。特筆すべきは、これが「売却益」ではなく「複利と配当再投資」によるものであり、バフェットの資産形成哲学が具現化された典型例であるという点にある。
市場が短期的な値動きや一過性のテーマに流されやすい中、安定した需要に支えられた銘柄の本質を見極め、数十年にわたり継続保有した結果が現在の評価額に直結している。株式投資における「耐える時間の力」は、複利と配当の再投資という2本柱によって具体化されており、配当利回りが高くなくても、時間軸の長さが最終的な差を生む。そうした累積構造こそ、バフェットが市場平均を上回るリターンを得る源泉である。
保有比率9.3%が示すコカ・コーラの戦略的位置付け
2024年末のデータによれば、コカ・コーラ株はバークシャー・ハサウェイの保有株式ポートフォリオにおいて9.3%を占める4番目の規模を誇る。上位にはApple(28.1%)、American Express(16.8%)、Bank of America(11.2%)が並ぶが、それらと並列されるほどの存在感をコカ・コーラが維持していることは注目に値する。
この比率は、単なる収益性以上に、分散投資の中核としての役割を物語っている。原材料価格や景気循環の影響を受けにくく、グローバルなブランド力と価格転嫁力を併せ持つ同社の株式は、不況期にも資産価値を支えるアンカーとして機能してきた。加えて、連続増配企業として安定したインカムゲインを提供することも、バフェットが重視してきた理由の一つと考えられる。
投資判断において数量化されにくい「ブランド力」や「定常需要」が、長期的な資産運用にどれだけ寄与するかを示す事例であり、リスク低減とリターン最大化の両立を目指すポートフォリオ戦略のなかで象徴的な位置を占める存在といえる。
15年間で2670億ドルへと膨らんだバークシャー全体の成長率
2009年第1四半期時点で409億ドルだったバークシャーの株式ポートフォリオは、2024年第4四半期には2671億8000万ドルに達した。この15年間で年率13.33%という複利成長率を実現しており、同期間におけるS&P500指数の年率12.78%を明確に上回っている。
この差は一見わずかに見えるが、長期的な資産成長の場面では複利効果によって大きな差異を生む。ポートフォリオの中心を成すのは、Appleのような成長企業と、コカ・コーラのような安定収益企業のハイブリッド構成であり、これが市場環境を問わず着実な伸長を支えている。
加えて、短期的なトレンドに乗るのではなく「理解し信じられる企業に集中投資する」という原則を貫いた結果、回転売買によるコストを排しながらも市場平均を上回る成果を出してきたことは示唆に富む。長期的な視野と確固たる銘柄選定の重要性が、このデータから鮮明に浮かび上がる。
Source:yahoo finance