Broadcom(AVGO)は4月30日、米国株全体が小幅な値動きに終始する中で0.76%の株価上昇を記録し、S&P500を上回るパフォーマンスを見せた。背景にはSeaport Global SecuritiesのJay Goldberg氏による新規カバレッジ開始と、「買い」推奨の発表がある。同氏は目標株価を現在より約20%高い230ドルと設定し、BroadcomのAI関連事業における成長力と、GoogleやAppleをはじめとする主要顧客の存在に注目した。
AI以外の中核事業でも高い収益性を維持しており、カスタムチップ提供など多様な収益基盤が評価された。一方、Motley Foolが推奨する「今買うべき株トップ10」に同社は含まれておらず、市場の期待と専門家の視点の乖離が今後の評価変動を左右する可能性がある。
Seaportの高評価とAI関連事業の成長期待

Seaport Global SecuritiesのJay Goldberg氏は、Broadcomに対して新たに「買い」評価を付与し、目標株価を230ドルと設定した。これは4月30日時点の株価192.63ドルに対して約20%の上昇余地を示すものである。Goldberg氏は、AI分野におけるBroadcomの積極的な姿勢を高く評価し、同社がAI支出の拡大トレンドから最も恩恵を受ける企業の一つになると分析した。特に、AI用カスタムチップの開発と供給能力が主要な収益源として注目されている。
また、AlphabetのGoogle、Apple、ByteDance(TikTok運営会社)といった大手企業を顧客に抱えている点も、安定的な売上と技術信頼性の証左として強調された。これらの顧客基盤は、AI関連領域にとどまらず、Broadcomの他分野においても持続的成長を支える構造となっている。現状では市場評価がやや控えめであるとの指摘もあり、成長ポテンシャルを再評価する動きが今後活発化する可能性がある。
多角的収益構造と市場競争力の強さ
Broadcomの特徴は、特定のセグメントに依存しない堅牢な収益構造にある。AI関連の注目度が高まる中にあっても、同社はそれ以外の領域でも高い競争優位性を維持している。たとえば、通信インフラ向けの半導体、ストレージ制御チップ、ネットワークソリューションなどが収益の柱となっており、それぞれの分野で堅調な需要が継続している。Goldberg氏も、この多様な事業ポートフォリオこそがBroadcomを「堅実なテック株」として評価する要因であると述べている。
これらの事業分野では既存の大手企業に加え、新興のクラウド関連顧客層の開拓も進んでおり、中長期的にはさらなる市場浸透が見込まれる。一方で、AI分野に過度に期待が集中する市場の傾向は、他の収益源の価値を過小評価する要因にもなり得る。Broadcomの持つバランスの取れた構造は、ボラティリティの高いテクノロジー市場において、安定的なパフォーマンスを維持する土台となる。
株価上昇にも慎重な評価が求められる背景
4月30日の株価上昇は0.76%と小幅にとどまり、市場全体が横ばいに推移する中では相対的に良好な動きであった。しかし、この変動が実質的なトレンド転換を示すものかどうかは慎重に見極める必要がある。Motley Foolの「今買うべき株トップ10」にBroadcomが含まれていない点は注目に値する。これは、他の銘柄に比して短期的リターンの観点で見劣る可能性を示唆しているとも取れる。
過去の例として、同リストに早期に選定されたNetflixやNvidiaは、長期的に極めて高いリターンをもたらしてきた。Broadcomがこのような大化け銘柄の仲間入りを果たすには、市場全体によるAI価値評価の変化と、それを裏付ける実績の積み上げが不可欠となる。
また、Goldberg氏による個別評価と、Motley Foolの選別基準との間には視点の違いがあり、これをどう捉えるかが投資判断に影響を与えるであろう。株価上昇が過度な期待による一過性の反応でないか、冷静な分析が必要である。
Source:The Motley Fool