工作機械産業は、世界の産業インフラを支える重要なセクターです。製造業の進化とともに、工作機械製造企業もその技術やサービスを更新し続け、時代のニーズに対応しています。
この記事では、「2023年最新版:世界の工作機械会社ランキング時価総額TOP100」を紹介します。ランキングは企業の時価総額に基づいており、それぞれの企業の経済的な規模と影響力を示しています。
世界の工作機械会社ランキング:時価総額TOP100
下記の世界の工作機械会社ランキング一覧は、本メディアReinforz Insightが各社の公表情報を元に集計している時価総額ランキングです。時価総額は、各企業の株式時価に基づいて算定されており、企業の実質的な価値を示す指標となります。
このランキングを元に分析すると、以下が特徴として見えてきます。
- 地域性: 日本、中国、台湾がこのリスト上で多数を占めており、特に日本と中国の企業が上位に位置しています。アメリカやドイツ、インド、大韓民国なども一部含まれていますが、それらの企業の数は比較的少ないです。
- 時価総額の範囲: 企業の時価総額は非常に広範にわたっており、最大は小松製作所の37,088億円で、最小はタケダ機械の25億円です。上位の企業は数千億円から数万億円の時価総額を持っていますが、下位に行くにつれて時価総額は数百億円から数十億円となり、時価総額の規模がかなり異なることが見て取れます。
- 業種: このリストには様々な産業を代表する企業が含まれていますが、その多くは製造業や機械工業などの重工業に属しているようです。これは、特定の企業や業界が特定の国で優勢であることを示すものかもしれません。
- 企業規模と時価総額: 一般的に、大企業ほど時価総額が大きい傾向にありますが、このリストには必ずしもそうとは限らない企業も含まれています。例えば、小松製作所やアマダなどの大手企業だけでなく、小規模ながらも高い時価総額を持つ企業も存在します。このことから、企業規模だけが時価総額を決定するわけではないことがわかります。
以上のような特徴を考慮に入れつつ、このランキングを使って、特定の産業や地域の動向を把握することが可能です。また、企業の成長や競争力を評価する上でも重要な参考資料となります。
以下は、ランキングトップ5にランクインしている企業です。
1位:小松製作所(日本)
日本の重機メーカーであり、世界第2位の建設機械メーカーとして知られています。高品質な製品、強力な研究開発能力、広範な製品ラインアップなどが評価され、時価総額が大きい理由として挙げられます。また、世界的な都市化とインフラ整備のニーズ増大が背景にあります。
2位:IPG Photonics Corp(アメリカ)
アメリカの光ファイバーレーザー及びアンプの開発、製造、販売を行っています。レーザー技術のパイオニアであり、その技術力と革新性が評価されています。また、製品は多岐にわたる産業に使用され、その需要が高まっています。
3位:アマダ(日本)
日本の金属加工機械の製造販売を手がける企業です。特にレーザー加工機やパンチプレス、プレスブレーキといった製品は高品質で高評価を受けています。また、製品ライフサイクル全体にわたるソリューションを提供する「総合ソリューションメーカー」のポジショニングが強みとなっています。
4位:DMG Mori Aktiengesellschaft(ドイツ)
ドイツの機械工具製造業者で、世界中に拠点を持つ大企業です。幅広い産業に対応した高品質な製品ラインアップ、強力な技術開発能力、そしてグローバルな販売網が時価総額を押し上げています。
5位:ジェイテクト(日本)
日本の自動車部品メーカーで、特にベアリング技術に強みを持つ企業です。また、自動車だけでなく、産業機械や航空機、鉄道車両など、多岐にわたる分野でその製品が使われています。自動車の電動化・自動運転化のトレンドを背景に、その技術力と製品が評価されています。
これらの企業はそれぞれ独自の強みを持ち、時価総額の大きな企業となっています。特に技術力、製品の品質、市場のニーズへの対応力などが、ランキング上位に入っている理由として挙げられます。
【世界の工作機械会社ランキング:時価総額TOP100リスト】
※対象となる工作機械会社として「上場企業」かつ「工作機械業を展開している企業」
※対象決算期はデータ入手が可能な直近決算期を採用
※時価総額は記事執筆時点(2023年6月20日)の株価および為替レートで算出
ランキング | 企業名 | 所在国 | 決算期 (決算期) | 時価総額(億円) |
1 | 小松製作所 | 日本 | 2023/03 | 37,088 |
2 | IPG Photonics Corp | アメリカ | 2022/12 | 8,463 |
3 | アマダ | 日本 | 2023/03 | 5,062 |
4 | DMG Mori Aktiengesellschaft | ドイツ | 2022/12 | 4,728 |
5 | ジェイテクト | 日本 | 2023/03 | 4,506 |
6 | Sinomach Heavy Equipment Group Co Ltd | 中国 | 2022/12 | 4,343 |
7 | Shenyang Machine Tool Co Ltd | 中国 | 2022/12 | 3,297 |
8 | Ningbo Haitian Precision Machinery Co Ltd | 中国 | 2022/12 | 3,241 |
9 | DMG森精機 | 日本 | 2022/12 | 3,238 |
10 | シチズン時計 | 日本 | 2023/03 | 2,531 |
11 | オークマ | 日本 | 2023/03 | 2,505 |
12 | Lakshmi Machine Works Ltd | インド | 2023/03 | 2,236 |
13 | Qinchuan Machine Tool & Tool Group Share Co Ltd | 中国 | 2022/12 | 2,168 |
14 | L K Technology Holdings Ltd | 香港 | 2022/03 | 1,987 |
15 | Huizhou Intelligence Technology Group Co Ltd | 中国 | 2022/12 | 1,813 |
16 | Huaming Power Equipment Co Ltd | 中国 | 2022/12 | 1,810 |
17 | Fujian Zitian Media Technology Co Ltd | 中国 | 2022/12 | 1,782 |
18 | Maschinenfabrik Berthold Hermle AG | ドイツ | 2022/12 | 1,705 |
19 | 牧野フライス製作所 | 日本 | 2023/03 | 1,377 |
20 | Jiangsu Huahong Technology Co Ltd | 中国 | 2022/12 | 1,318 |
21 | 芝浦機械 | 日本 | 2023/03 | 1,292 |
22 | 不二越 | 日本 | 2022/11 | 1,002 |
23 | Zhejiang RIFA Precision Machinery Co Ltd | 中国 | 2022/12 | 956 |
24 | Homag Group AG | ドイツ | 2022/12 | 888 |
25 | Jiangsu Yawei Machine Tool Co Ltd | 中国 | 2022/12 | 874 |
26 | Shanghai Weihong Electronic Technology Co Ltd | 中国 | 2022/12 | 779 |
27 | スター精密 | 日本 | 2022/12 | 772 |
28 | Jiangxi Haiyuan Composites Technology Co Ltd | 中国 | 2022/12 | 715 |
29 | ツガミ | 日本 | 2023/03 | 700 |
30 | アイダエンジニアリング | 日本 | 2023/03 | 637 |
31 | 新東工業 | 日本 | 2023/03 | 577 |
32 | Precision Tsugami (China) Corp Ltd | 中国 | 2022/03 | 540 |
33 | Weihai Huadong Automation Co Ltd | 中国 | 2022/12 | 538 |
34 | Feintool International Holding AG | スイス | 2022/12 | 471 |
35 | NITTOKU | 日本 | 2023/03 | 464 |
36 | Biesse SpA | イタリア | 2022/12 | 459 |
37 | ソディック | 日本 | 2022/12 | 390 |
38 | Qinghai Huading Industrial Co Ltd | 中国 | 2022/12 | 351 |
39 | Goodway Machine Corp. | 台湾 | 2022/12 | 340 |
40 | Wendt (India) Ltd | インド | 2023/03 | 325 |
41 | Simpac Inc | 大韓民国 | 2022/12 | 309 |
42 | 岡本工作機械製作所 | 日本 | 2023/03 | 270 |
43 | 西部電機 | 日本 | 2023/03 | 245 |
44 | Disa India Ltd | インド | 2023/03 | 234 |
45 | TongTai Machine & Tool Co., Ltd | 台湾 | 2022/12 | 211 |
46 | Hurco Companies Inc | アメリカ | 2022/10 | 208 |
47 | Wuhan Golden Laser Co Ltd | 中国 | 2022/12 | 186 |
48 | Tornos Holding AG | スイス | 2022/12 | 173 |
49 | Shieh Yih Machinery Industry Co Ltd | 台湾 | 2022/12 | 172 |
50 | HMT Ltd | インド | 2022/03 | 172 |
51 | DY POWER Corp | 大韓民国 | 2022/12 | 167 |
52 | Ta Liang Technology Co., Ltd. | 台湾 | 2022/12 | 149 |
53 | Abpro Bio Co Ltd | 大韓民国 | 2022/12 | 146 |
54 | World Precision Machinery Ltd | 中国 | 2022/12 | 142 |
55 | Awea Mechantronic Co., Ltd. | 台湾 | 2022/12 | 140 |
56 | Kent Industrial Co Ltd | 台湾 | 2022/12 | 140 |
57 | Anderson Industrial Corp. | 台湾 | 2022/12 | 133 |
58 | 小池酸素工業 | 日本 | 2023/03 | 129 |
59 | 小田原エンジニアリング | 日本 | 2022/12 | 128 |
60 | Forbes & Co Ltd | インド | 2023/03 | 126 |
61 | EMKOREA Co Ltd | 大韓民国 | 2022/12 | 123 |
62 | 安永 | 日本 | 2023/03 | 122 |
63 | 北川鉄工所 | 日本 | 2023/03 | 115 |
64 | Taiwan Takisawa Technology Co Ltd | 台湾 | 2022/12 | 115 |
65 | ミクロン精密 | 日本 | 2022/08 | 111 |
66 | 豊和工業 | 日本 | 2023/03 | 100 |
67 | Hwacheon Machinery Co Ltd | 大韓民国 | 2022/12 | 99 |
68 | Quaser Machine Tools Inc | 台湾 | 2022/12 | 98 |
69 | Hwacheon Machine Tool Co Ltd | 大韓民国 | 2022/12 | 89 |
70 | SMEC Co Ltd | 大韓民国 | 2022/12 | 88 |
71 | Kao Fong Machinery Co Ltd | 台湾 | 2022/12 | 84 |
72 | Chiu Ting Machinery Co., Ltd. | 台湾 | 2022/12 | 83 |
73 | Nexturnbioscience Co Ltd | 大韓民国 | 2022/12 | 81 |
74 | TAKISAWA | 日本 | 2023/03 | 80 |
75 | 太陽工機 | 日本 | 2022/12 | 76 |
76 | Raute Oyj | フィンランド | 2022/12 | 73 |
77 | 和井田製作所 | 日本 | 2023/03 | 72 |
78 | 旭精機工業 | 日本 | 2023/03 | 69 |
79 | Falcon Machine Tools Co Ltd | 台湾 | 2022/12 | 68 |
80 | Roundtop Machinery Industries Co., Ltd. | 台湾 | 2022/12 | 66 |
81 | Ying Han Technology Co., Ltd. | 台湾 | 2022/12 | 62 |
82 | Lokesh Machines Ltd | インド | 2023/03 | 61 |
83 | 高松機械工業 | 日本 | 2023/03 | 59 |
84 | Chun Zu Machinery Industry Co Ltd | 台湾 | 2022/12 | 55 |
85 | Inmax Holding Co Ltd | 台湾 | 2022/12 | 53 |
86 | キクカワエンタープライズ | 日本 | 2023/03 | 53 |
87 | 北川精機 | 日本 | 2022/06 | 53 |
88 | FORMETAL Co Ltd | 大韓民国 | 2022/12 | 48 |
89 | ミロク | 日本 | 2022/10 | 47 |
90 | Ensure Global Corp | 台湾 | 2022/12 | 47 |
91 | エンシュウ | 日本 | 2023/03 | 46 |
92 | 浜井産業 | 日本 | 2023/03 | 41 |
93 | Electric Power Technology Ltd | 台湾 | 2022/12 | 37 |
94 | HK Co Ltd | 大韓民国 | 2022/12 | 37 |
95 | HNK Machine Tool Co Ltd | 大韓民国 | 2022/12 | 35 |
96 | Batliboi Ltd | インド | 2022/03 | 34 |
97 | 太平製作所 | 日本 | 2023/03 | 33 |
98 | Elgi Rubber Co Ltd | インド | 2023/03 | 33 |
99 | 津田駒工業 | 日本 | 2022/11 | 30 |
100 | タケダ機械 | 日本 | 2022/05 | 25 |
出典:各社プレスリリースなど
世界の工作機械会社ランキングの有用性
工作機械会社のランキングは、その業界に関心を持つ投資家、業界研究者、ビジネスパートナー候補を探す企業、また就職や転職を考える個人などにとって、非常に有用な情報を提供します。以下に詳しくその有用性を説明します。
- 市場動向の把握: ランキングは市場全体の動向やトレンドを理解する上で非常に有用です。どの企業が上位に来ているのか、その企業の特徴や強みは何かなどを通じて、業界の成功要因や将来性を把握することができます。
- 投資判断の補助: 投資家にとっては、ランキング情報は投資判断の一助となります。企業の時価総額や財務状況、成長率などを比較することで、投資対象とする企業を選択したり、投資のタイミングを決定したりするのに役立ちます。
- ビジネスパートナーシップの検討: ビジネスパートナーシップを探す企業にとっては、ランキング情報は信頼できるパートナー企業を見つける上での参考情報となります。高いランキングの企業は一般的に業界での信頼性や安定性が高いと考えられます。
- 就職・転職活動の参考: また、就職や転職を考える個人にとっても、ランキングは有用な情報源です。ランキング上位の企業は、安定した経営基盤や良好な労働環境、キャリアアップの機会を提供している可能性が高いためです。
- 競争分析: 企業が競争状況を把握する上でも、ランキングは重要な情報源です。自社の位置づけや競合との相対的な強弱を理解し、ビジネス戦略を考える材料にすることができます。
ただし、ランキング情報だけに頼るのではなく、他の多様な情報源も活用しながら総合的な判断をすることが重要です。ランキングはあくまで一つの視点であり、企業の真価を評価するためには、より深いレベルでの分析が必要となります。
世界の工作機械会社ランキング:変化を与える要素
世界の工作機械会社ランキングに変化を与える要素は、以下の通りです。
技術革新
工作機械産業は技術革新が進行しており、特に自動化、AI、IoTなどの技術が業界に大きな変化をもたらしています。これらの技術を有効に活用して、生産効率を向上させることができる企業は競争力を高め、ランキングで上位に進む可能性があります。
経済状況
経済状況や市場の需給バランスもランキングに影響を与えます。例えば、経済成長が進むと工作機械の需要が増え、一部の企業の業績や株価が上昇する可能性があります。逆に、経済不況になると業績が下がり、ランキングも下落するかもしれません。
為替レート
為替レートの変動もランキングに影響を与える要素です。特に、海外に大きな市場を持つ企業は為替レートの影響を大きく受けます。為替レートが有利に変動すると、海外からの収益が増え、業績が向上する可能性があります。
M&A(合併・買収)
M&Aもランキングの変化を引き起こす可能性があります。企業が他の企業を買収することで、業績が大きく伸び、ランキングが上昇する場合があります。
規制や政策変更
また、国や地域の規制や政策の変更もランキングに影響を与えます。環境規制が強化されると、環境対応型の製品を提供できる企業が有利になる可能性があります。また、製造業に対する政策支援が強化されれば、業界全体の業績が向上する可能性があります。
これらの要素は、個々の企業の戦略や運営努力とは別に、ランキングの変化を引き起こす可能性があります。したがって、ランキングの分析や予測を行う際には、これらの要素を考慮することが重要です。
まとめ
以上、「2023年最新版:世界の工作機械会社ランキング時価総額TOP100」をご紹介しました。リストの中には、技術革新や市場戦略、規制環境など、様々な要素が絡み合ってランキングに名を連ねる企業が見受けられます。
今後も工作機械産業は、技術進化や市場の動向、さらには経済状況などにより変動し続けるでしょう。これらの要素を理解することで、ランキングの背後にある業界の動きやトレンドを掴むことが可能になります。各企業がどのような戦略を取り、どのように市場と向き合っているのかを見ることで、我々自身も新たな視点や洞察を得ることができるでしょう。