NVIDIA株は4月30日の引け後に4.52%上昇し、113.75ドルを記録した。背景には、MicrosoftとMetaの好調な決算発表がある。Microsoftはクラウド部門の好調で売上42.4億ドル、Azure単体で前年比33%増の成長を見せ、MetaもAI投資拡大を理由に2025年の設備投資見通しを上方修正した。

両社のAI・クラウド分野での成果が、NVIDIAのようなAIインフラ企業に波及し、投資家心理を押し上げた可能性が高い。なお、NVIDIAの決算発表は5月28日に予定されており、市場は引き続きAI関連銘柄への関心を強めている。

MicrosoftとMetaの決算がAI銘柄に波及 NVIDIA株は時間外で急伸

MicrosoftとMeta Platformsの力強い決算発表が、市場におけるAI関連株への投資意欲を大きく刺激した。Microsoftは第3四半期において、売上高が前年同期比20%増の424億ドルに達し、Azureを中心とするクラウド事業の急成長が全体を牽引した。とりわけAzureとその他のクラウド関連サービスは前年比33%の増収を記録し、同社のAI関連戦略が実際の収益成長へと結びついていることが示された。

Metaも同日に発表した決算で、AI開発への注力度合いを明確にした。通年の設備投資見通しを従来の600億〜650億ドルから640億〜720億ドルへ引き上げ、その背景にAIインフラへの投資加速があることを明言している。このMetaの発言は、市場におけるAI熱が一過性のものでなく、中期的な資本投入が続くという認識を強めたと考えられる。

このような動きの中で、AI半導体の中核を担うNVIDIAの株価は時間外取引で4.52%上昇し、113.75ドルをつけた。MicrosoftやMetaといった巨大顧客の投資拡大は、NVIDIAの需要基盤を強化する要因となる。AIとクラウドの融合という構図が、ハードウェア供給側への期待を高めたと見るのが自然である。

投資家が注視する5月28日の決算発表 市場の期待とNVIDIAの立ち位置

NVIDIAは4月30日の引け後に決算を発表する予定であったが、実際には5月28日に延期されており、市場はその発表内容に大きな関心を寄せている。Benzinga Proによると、アナリストは1株あたり88セントの利益、売上高430.7億ドルを予想しており、これが実現すれば前年同期比で大幅な成長となる見通しである。時間外での株価上昇は、先行するMicrosoftとMetaの決算がもたらした波及効果によるもので、NVIDIA自身の業績期待が背景にあるわけではない。

ただし、MetaとMicrosoftの両社がAI投資を拡大し、それにともなうハードウェア需要が増すことは、NVIDIAにとって明確な成長追い風となり得る。実際、クラウドベンダーやSNSプラットフォーマーがGPUインフラの調達に前向きである限り、同社の収益機会は拡大する余地がある。ただし、それが必ずしも次回の決算に即座に反映されるとは限らず、短期的な期待先行には一定の警戒も必要である。

株価の上昇はAI分野への資本集中が継続するという市場の評価を映しているが、NVIDIAがそれに応える形で実際の業績として証明できるかどうかが今後の焦点である。5月28日の決算が、現在の株価水準を正当化する材料となるかどうか、冷静な見極めが求められる局面にある。

Source:Benzinga