マイクロソフトは、2025年4月8日以降の月例セキュリティ更新(KB5055528以降)の適用により、Windows Server Update Services(WSUS)を介したWindows 11 24H2へのアップグレードが一部のデバイスで不可能となる事象を正式に認めた。
この問題は主にWindows 11 バージョン22H2または23H2を運用する企業環境で発生しており、アップグレードプロセスが開始されない、あるいは完了しない事例が多数報告されている。更新ログに表示される「0x80240069」エラーや「wuauservの予期せぬ停止」は、根本的な更新管理システムの不安定性を示唆するものであり、IT部門の業務負荷増加が懸念される。
さらに、ドライバ同期機能の削除延期やIntuneポリシー回避の不具合修正といった関連対応も複数進行中であり、Windows管理の中核を担う企業ユーザーは慎重な状況把握と運用見直しが求められている。
WSUS環境で発生した更新障害の実態と影響範囲

2025年4月の月次セキュリティアップデート(KB5055528以降)の適用後、一部の企業内端末でWindows Server Update Services(WSUS)経由によるWindows 11 24H2へのアップグレードが停止している。
更新プロセスが開始されない、もしくは完了しない現象が確認されており、具体的にはエラーコード「0x80240069」や「wuauservの予期せぬ停止」がログ上に記録されている。これにより、IT管理者はエンドポイントの更新管理において重大なボトルネックに直面している。
この問題は、主にWindows 11 バージョン22H2または23H2を使用している端末に発生しており、企業向けに構築された更新インフラ上で予期せぬ運用停止を引き起こしている。
特にWSUSは、20年以上にわたり企業内のパッチ配信基盤として広く導入されてきた実績があり、その信頼性に対する影響も無視できない。家庭用デバイスでは影響は限定的であるとされているが、ドメイン環境下での広範な利用を考慮すると、企業にとっての運用コスト上昇やセキュリティリスクの顕在化が懸念される。
マイクロソフトは既に問題を認識しているとし、WSUS経由での24H2アップグレード不可の可能性について公式に言及しているが、恒久的な解決策やパッチの提供については具体的な工程を明示していない。このため、現場のIT担当者には手動による更新検証や代替手段の検討が迫られる状況にある。
機能廃止の延期と管理コード不具合に見る運用設計上の課題
マイクロソフトは2024年9月に非推奨となったWSUSのドライバ同期機能の削除を、当初予定されていた2025年4月18日から延期することを明らかにした。
これは過去3回にわたる削除警告を経た上で、顧客からの強いフィードバックを受けたものであり、企業現場における実運用への配慮が背景にあると推察される。予定通りの廃止が困難であった点からは、更新管理体制の柔軟性と現実との乖離が浮き彫りとなっている。
一方、Intuneポリシーによってアップグレードをブロックされるはずの端末が、意図せずWindows 11に移行してしまうというコード上の不具合も報告されており、制御ロジックの検証不足が指摘されている。企業はこれらの管理機構に対する信頼の低下を余儀なくされており、マルチレイヤーでのポリシー設計や社内ガバナンスの再構築を検討する必要に迫られている。
このような運用障害の連鎖は、単一ベンダーに依存した更新・管理基盤のリスクを改めて示すものといえる。特にWindowsエコシステムにおいては、更新一つが数千台規模の端末に直結するため、テスト体制やリリース戦略の精緻化が急務である。今後、より透明性の高い運用計画と、迅速な修正展開の仕組みが求められる局面にある。
Source:ExtremeTech