Microsoftは、2025年4月のセキュリティ更新プログラム適用後、一部企業環境においてWindows Server Update Services(WSUS)経由のWindows 11 24H2アップデートが正常に配信されず、エラーコード0x80240069が発生する事象を公式に認めた。

この問題は、Windows Updateのwuauservプロセスの予期せぬ停止に起因し、既存のWindows 11 22H2および23H2環境に限定して発生している。Microsoftは、2024年9月にWSUSを非推奨と発表していたが、今回の障害が企業のアップデート運用に直結する点で注目される。

さらに、Intuneポリシーを無視して一部デバイスが意図せずWindows 11へアップグレードされる不具合も報告されており、更新管理体制に対する信頼性の揺らぎが再び浮き彫りとなっている。

WSUS経由のWindows 11 24H2配信障害とMicrosoftの対応声明

2025年4月の月例セキュリティ更新プログラム(KB5055528)を適用した後、Windows Server Update Services(WSUS)を通じたWindows 11 24H2の展開が一部の企業環境で停止し、更新エラー0x80240069が発生している。

このエラーは、Windows Updateサービス「wuauserv」が予期せず停止することで発生しており、更新ログには「Service wuauserv has unexpectedly stopped」との記録も確認されている。

Microsoftはこの問題を公式に認め、「Windowsリリースヘルス」で注意喚起を行った。特に影響を受けているのは、Windows 11 22H2および23H2のバージョンを実行中であり、WSUSによるアップデート管理を行っている組織である。家庭向けのWindows環境では同様の障害が発生する可能性は低いとされている。

Microsoftは、今後もWSUSの既存機能と更新配信を維持する姿勢を示しているものの、本件に関する恒久的な修正計画やアップデート時期に関する具体的な発表は現時点では確認されていない。企業IT部門は、対策が講じられるまでの間、手動での更新管理や代替手段の検討を余儀なくされる可能性がある。

WSUSの非推奨と企業更新基盤の変化

Microsoftは2024年9月、WSUSを非推奨とする方針を発表し、Windows Server 2025からは機能の削除あるいは開発停止対象として明記した。この動きは、企業ネットワークにおける従来のパッチ管理手法から、クラウドベースのIntuneやWindows Update for Businessへの移行を促す一連の施策の一部と位置づけられている。

WSUSは2003年にSoftware Update Servicesとして導入されて以来、オンプレミス環境における更新の集中管理を支えてきた。特にセキュリティや運用統制の観点から、多数のデバイスを一元的に制御する企業にとっては欠かせない基盤であった。しかし近年、クラウドネイティブなIT運用が進展する中で、従来型の配信モデルが抱える柔軟性や即応性の限界が顕在化している。

今回の障害は、WSUSが持つ構造的なリスクと、非推奨化によるサポートの曖昧さがもたらす運用上の混乱を象徴する事例といえる。企業においては、今後の更新戦略の再構築が急務であり、特にセキュリティ更新の遅延が直接的なリスクとなる業種では、代替ソリューションへの早期移行が求められる。

意図しないアップグレードの発生と制御ポリシーの信頼性問題

Microsoftは、IntuneポリシーでWindows 11へのアップグレードを明示的にブロックしていたにもかかわらず、一部の端末が強制的にアップグレードされた可能性があることを確認した。また、2024年11月には、Windows Server 2019および2022を実行していた端末の一部が、通知なしにWindows Server 2025へアップグレードされた事例も判明している。

これらの問題は、Microsoftの更新制御アルゴリズムあるいは構成定義に何らかのバグまたは設定不備が存在していることを示唆する。ユーザーが明示的に意図しない変更を拒否したにもかかわらず、実際の挙動が異なるという状況は、更新管理全体の信頼性を根底から揺るがすものである。企業側では、ポリシー定義だけでなく、実行ログやアップデートトレースの精査が必要不可欠となる。

Microsoftは当該のコード上の問題に関する修正に取り組んでいると発表しているが、アップグレード制御の信頼性確保にはより透明性の高いアプローチと、ポリシー優先度の一貫した適用が不可欠である。IT部門としては、再発防止策の具体性と、Microsoftの制御機構に対する再検証を強化すべき局面にある。

Source:BleepingComputer