ASUSは、ゲーミングおよびクリエイティブ用途を視野に入れた16インチノートPC「V16(V3607)」を正式に発表した。NVIDIA GeForce RTX 5060 Laptop GPUや最大32GBのDDR5メモリを搭載可能で、最新のIntel Core i7 240H(最大5.2GHz)にも対応するなど、エントリーモデルながら処理性能に妥協がない。
リフレッシュレート144HzのフルHD IPSディスプレイ、Wi-Fi 6とBluetooth 5.3による高速接続性、DisplayPort 1.4対応のUSB Type-Cなど、インターフェースも現行世代に最適化。SonicMasterおよびDirac技術による音響強化に加え、AIノイズキャンセリングマイクや物理シャッター付きWebカメラといった実用面も充実している。
さらに、63Whのバッテリーと150W ACアダプター、MIL-STD-810Hの軍用規格準拠による堅牢設計を兼ね備え、モバイルユースにも耐える仕様となっている。重量は約1.95kgと16インチクラスでは抑えられた水準である。
エントリー向け構成に見える高度な選択肢の融合

ASUS V16は、価格帯こそエントリーレベルに分類されるが、その構成は中上級機に匹敵する柔軟性を備えている。CPUは最大でIntel Core i7 240H(10コア/16スレッド)を搭載可能で、ベースクロックやブースト性能から見ても汎用的な高負荷作業に十分応える。GPUにはNVIDIA GeForce RTX 5060 Laptop GPUが採用されており、最新世代のAI処理やレイトレーシング機能を活用できる環境を提供する。
加えて、144Hzの高リフレッシュレートを誇る16:10比率のフルHDディスプレイ、最大32GBのDDR5 5600MHz RAM、PCIe 4.0対応のSSDなど、各パーツの選定に一切の妥協がない。ポート構成もDisplayPort 1.4を含むUSB Type-C、HDMI 2.1 FRL、オーディオジャック、電源専用ポートなど、多様な用途に即応する設計となっている。
これらの仕様から、単なる低価格モデルではなく、エントリーユーザーからプロユースに至るまでの幅広い層を視野に入れた設計思想が読み取れる。コストパフォーマンスの高さとカスタマイズ性が、初期導入だけでなく長期運用にも配慮された製品であることを示唆している。
耐久性・携帯性とパフォーマンスの両立に向けたASUSの技術的意図
本機において注目すべきは、1.95kgという重量とMIL-STD-810H準拠という耐久性の両立である。これは従来の16インチクラスにおいて稀な設計であり、特にモバイル作業を想定するユーザー層にとっては明確な差別化要素となる。さらに、63Whバッテリーと150W ACアダプターによる電力供給は、GPU使用時における性能維持にも一定の安定性をもたらす。
また、720p HDカメラには物理シャッターを備え、AIノイズキャンセリング対応のマイクアレイが搭載されるなど、オンラインミーティングを前提とした設計が見受けられる。タッチパッドはMylar素材により耐久性と滑らかさを確保し、1.7mmのキーストロークを持つフルサイズキーボードは、長時間使用でも入力疲労を抑える工夫がなされている。
ASUSがこのモデルにおいて狙ったのは、単なる性能競争ではなく、あらゆる使用環境において快適性と安定性を確保する総合的なユーザー体験の最適化であろう。機能の過不足がなく、軽量・高耐久・高性能の三要素を実直に積み上げた構成は、戦略的な製品展開の一環と見ることができる。
Source:Gizmochina