NVIDIAは、GeForce RTX 50シリーズを対象とする新たなドライバ「バージョン576.28 WHQL」を発表し、主にゲームや設計ソフトウェアで報告されていた複数の技術的障害に対応した。

対象タイトルは『Black Myth: Wukong』、『Red Dead Redemption 2』、『Resident Evil 4 Remake』、『Horizon: Forbidden West』などのAAA級タイトルに加え、建築・デザイン分野で活用されるLumion 2024も含まれる。

また、DisplayPort 2.1利用時のHDR関連不具合、Modern Standbyからの復帰時のブラックスクリーン、SteamVRでのV-SYNCスタッターなど、ハードウェア側の安定性にも焦点を当てた調整が加えられている。

RTX 50シリーズに集中した576.28の修正内容と対象アプリケーションの広がり

今回のGeForceドライバ576.28は、RTX 50シリーズ特有の不具合に対処する内容が中心であり、対象はゲームから業務用レンダリングソフトウェアまで多岐に及ぶ。

『Black Myth: Wukong』では悟空の変身時にランダムなクラッシュが生じ、『Red Dead Redemption 2』ではDX12モードにおいて起動直後にゲームが停止する深刻な事象が発生していた。さらに、『Horizon: Forbidden West』ではセーブデータのロード後にフリーズが起きるなど、プレイ体験そのものを損なう不具合が複数修正対象となっている。

一方で、設計・建築分野で使用されるLumion 2024でもレンダリングモードに移行時にクラッシュする問題が報告されていた。今回のアップデートでは、これらの業務用アプリケーションに対しても安定性の向上が図られており、クリエイターや技術職にとっても無視できない内容である。

さらにDisplayPort 2.1を高リフレッシュレートで利用した際の画面のちらつきや、Modern Standbyからの復帰時に表示されるブラックスクリーンなど、GPUドライバの深層に関わる不安定性も手当てされていることは、NVIDIAが製品群全体の完成度向上を意識している姿勢を示すものと言える。

GRD 576.02で顕在化した問題の修正とドライバ更新が与える意味合い

今回の更新で特徴的なのは、前バージョン「GRD 576.02」へのアップデートにより発生した二次的な不具合に焦点が当てられている点である。

例えば、アップデート後に一部タイトルで影がちらついたり、破損が発生したりする視覚的な問題や、シェーダーコンパイル時のクラッシュなど、根本的なドライバ設計の調整が求められる事象が複数発生していた。これらは単なるソフトウェア的な不具合ではなく、ハードウェアとAPIレイヤーの整合性に関わる問題であり、NVIDIAの対応速度と範囲は注目に値する。

また、SteamVR利用時に複数ディスプレイ環境で発生していたV-SYNC関連のマイクロスタッターも修正対象とされており、PCVRの品質維持にもつながる内容となっている。これにより、ゲーム体験を重視する層だけでなく、仮想空間での設計・検証といった業務ユースでも恩恵が及ぶ可能性がある。

加えて、GPUのアイドルクロックが予期せず低下する現象に対する修正は、冷却効率や消費電力に敏感なユーザー環境においても安定運用への寄与が期待される点で意味が大きい。更新のたびに新たな問題が顕在化する現状において、迅速な是正とフィードバック反映の体制が一層重要性を増している。

Source:Overclock3D