Intelは、Core Ultra 200Vシリーズ(Arc 140V/130V内蔵)を搭載する携帯型ゲーミング機向けに、新たなGPUドライバを投入した。最新版「32.0.101.6737」および「6739」は、先行する「6734」版に続き、複数のタイトルでフレームレート向上とフレームペーシングの改善を報告している。

特にMSIのClaw 8 AI+では、17W設定下において『Counter-Strike 2』や『DOTA 2』など9タイトルで2桁台のパフォーマンス向上が確認され、可変リフレッシュレートや最大16GBのVRAM割当機能との相乗効果により、操作体験の滑らかさが顕著に向上している。

競合がAMD中心の中、Lunar Lakeを採用したClawシリーズは一定の差別化を実現しており、Intelによる最適化の進展は、今後のゲーミング携帯機市場の構図を変える可能性も視野に入る。

Claw 8 AI+が示すLunar Lakeの実力とArcドライバの最適化効果

MSIのClaw 8 AI+は、Intelの次世代プラットフォームLunar Lakeを採用したゲーミング携帯機として注目される存在である。新型ドライバ「32.0.101.6734」以降を適用した構成では、『Fortnite』や『Payday 3』を含む9タイトルにおいて、2桁台のFPS向上が確認されており、特に17Wの省電力設定時でも安定した性能を維持する点が高く評価されている。

また、可変リフレッシュレート対応ディスプレイや、Thunderbolt 4による拡張性、最大16GBのVRAM割当可能な32GBメモリ構成など、ハードウェア側の設計も高い完成度を誇る。これらの要素が、Arcドライバの改良と相まって、単なるフレームレート向上に留まらない滑らかな操作体験を実現している。

この成果は、Intelがモバイル向けグラフィックス最適化に本腰を入れ始めたことの表れであり、AMD独占状態にあった携帯ゲーミング市場において、新たな選択肢の価値を実証する重要な一歩となる可能性を示している。

ドライバ更新がもたらす競争構図への影響と市場の揺らぎ

現在の携帯型ゲーミングデバイス市場は、ASUSのROG AllyやLenovo Legion Go、ValveのSteam DeckといったAMD APU搭載機が大勢を占めている。しかしIntelが今回示したように、Arc GPUとCore Ultra 200Vシリーズの組み合わせによる性能最適化が進むことで、MSI Clawシリーズのような異端的存在が徐々に存在感を強める可能性は否定できない。

特に、17W以下という標準電力帯での性能向上に注力する姿勢は、バッテリー制約の大きい携帯機領域において実用性の高いアプローチであり、従来の「ベンチマーク性能重視」から「リアルワールド性能重視」への潮流変化にも合致している。

ただし、Claw AI+のような構成を再現するには高度な熱設計や電力管理技術が求められるため、全OEMが即座に追随するとは限らない。Intelによる継続的な最適化とベンダー間の協業体制構築が、真の競争環境を形成する鍵となる。

Source:HotHardware