CoinSharesの最新レポートによると、2025年4月末時点で仮想通貨への平均ポートフォリオ配分が年初来で最高の1.8%に達した。特に機関投資家の仮想通貨保有は2.5%に及び、オンチェーン資産への関与が強まっている。ビットコインがその中核に位置し、保有者は1月の48%から63%へと大幅に増加。分散投資目的が依然として主要な動機とされる一方で、アルトコインからの資金引き上げが示唆されており、リスク評価の見直しが進んでいる。

仮想通貨のボラティリティと規制の不透明性は依然として主要な懸念とされ、参入障壁となっている。大統領令による期待とは裏腹に規制環境は大きく変わらず、政策不確実性が投資判断に影響を与え続けている。ただし、マクロ経済の中でFRBの政策は比較的支持されており、ビットコインのボラティリティ低下も市場心理の改善要因の一つとなっている。

ビットコインの保有比率が急上昇 市場心理の回復と流動性への期待が後押し

CoinSharesの最新レポートによれば、2025年4月29日時点において、仮想通貨への平均配分は年初来最高の1.8%に達した。特にビットコイン(BTC)は依然として中心的な資産とされ、回答者の63%が保有していると報告された。これは1月時点の48%からの大幅な増加であり、資産クラス全体の信頼回復を示す兆候と見られる。また、機関投資家の平均配分も2.5%に上昇し、オンチェーンへのエクスポージャーが拡大している。

一方、アルトコインに対する配分は顕著に減少しており、ポルカドット(DOT)やカルダノ(ADA)、XRPといった主要銘柄は投資ポートフォリオからほぼ排除されている。これは、リスク再評価の文脈において、ビットコインの流動性、規制の明確性、そしてインフラ整備が評価されていることの表れと解される。回答者の30%は、ポートフォリオの多様化を目的として仮想通貨を選好していると回答したものの、結果的には安全資産的な性格を持つビットコインへの集中が進んでいる。

この動きからは、仮想通貨市場においても「選別」の姿勢が強まりつつあることがうかがえる。つまり、投機的な価格上昇を狙うフェーズから、安定した保有資産としての位置づけを重視するフェーズへとシフトしている可能性がある。イーサリアムやソラナのような中核銘柄を除けば、その他の仮想通貨に対する関心の希薄化は今後も続くと考えられる。

規制不透明感とボラティリティが参入の壁 投資判断に残る慎重さ

仮想通貨市場の参加者にとって、最も大きな懸念要因は依然としてボラティリティである。CoinSharesのレポートでは、ビットコインの価格変動が一部の株式銘柄よりも低い水準に収まっているにもかかわらず、多くの投資家が依然として価格の乱高下を最大のリスク要因として挙げている。これは、過去の急激な下落や規制による市場混乱が、投資家心理に深く刻まれていることの裏返しともいえる。

次いで、規制の不透明さも深刻な障壁となっている。特に米国では、大統領令による規制明確化の期待が先行したものの、具体的な政策の実現は遅れており、依然として不確実性が残る。このため、多くの投資家が様子見の姿勢を保っており、本格的な資金流入には至っていない。また、評判リスクや技術的ファンダメンタルズの未成熟さも一部では指摘されており、市場全体の成熟にはなお時間を要する見通しである。

その一方で、FRBの現在の政策スタンスに対する評価が改善している点は注目に値する。インフレ抑制と景気維持のバランスを評価する声が増えており、マクロ経済的環境が仮想通貨投資に対する心理的後押しとなる可能性もある。関税リスクやスタグフレーション懸念といった逆風下でも、仮想通貨がポートフォリオの一部として再評価されている事実は、市場構造の変化を物語っている。

投機から構造的投資へと移行する兆候 多様化の名の下に再構築される資産戦略

仮想通貨が投資ポートフォリオにおける補完的資産として認識され始めていることは、CoinSharesの調査でも明確に示されている。回答者の30%が多様化を主な目的とし、さらに分散型台帳技術への関心や投機的要素も続いて挙げられている。注目すべきは、投機目的の比重が再び増加傾向にある一方で、顧客需要は前四半期から減少しているという点である。この乖離は、個別の判断に基づく構造的投資の台頭を示唆している。

機関投資家やファミリーオフィスによる関与が拡大している背景には、仮想通貨市場における取引インフラの整備、流動性の安定、ならびに制度的な受容の広がりがあるとみられる。これらの要素が、短期的な投機ではなく、中長期的な資産形成の一部として仮想通貨を位置づけ直す動きにつながっている。特にビットコインとイーサリアムへの集中投資が続いている点は、今後の市場構造を左右する重要な視座となる。

また、仮想通貨市場では、従来注目されていたリスク要因、たとえば量子コンピュータによる脅威などが相対的に軽視される傾向にある。これは市場参加者が直近の実務的リスクへの対処に重点を置いていることを意味しており、実効性の高い運用判断が求められる時代に入っていることを示唆する。仮想通貨は今や単なる投機の対象ではなく、金融資産として再定義される段階にあるといえよう。

Source:CryptoSlate