マイクロソフトは2025年1〜3月期決算で、売上高が前年比13%増の701億ドル、1株利益が3.46ドルといずれも市場予想を上回った。特にAzureクラウド事業は前年比33%増と、ウォール街予想の29%を超える成長を記録。AI関連サービスによる売上が成長を大きく後押しした。
OpenAIからの新たなクラウド契約や「Copilot」などAI搭載ソフトの高価格帯への誘導も奏功。CFOは今期Azureの成長率を最大35%と見込み、株価は時間外で8%上昇した。一方でデータセンター投資は2年ぶりに減少しており、先行投資の鈍化が中長期の需給動向に影を落とす可能性もある。
Azureが33%成長 AI需要が支える収益構造の変化

マイクロソフトの2025年1〜3月期決算で最も注目すべきは、Azureクラウド部門の前年同期比33%の売上増である。これはウォール街予想の29%を上回り、同社クラウド基盤の強固さとAI関連需要の高まりを如実に示す。とりわけ、OpenAIとの新たなクラウド契約が予約数を押し上げ、Azure成長の16ポイントをAIが占める構造は前四半期の13ポイントから上昇した。CFOのエイミー・フッドは為替調整後で最大35%の成長を見込んでおり、通期見通しも市場の期待を超える内容となった。
AIを組み込んだ「Copilot」などのサービスは、ユーザー単価の引き上げにも寄与している。生成AIに対する投資回収を狙う構造転換は、単なるクラウド契約数の増加以上の意味を持つ。ただしAIサービスの需要が急拡大する中で、Azureのインフラ能力には限界もある。マイクロソフトは今後もデータセンター能力が逼迫状態にあると認めており、需給のひずみが今後の成長の制約要因となる可能性は否めない。
データセンター投資の減速 急成長の裏にある供給制約
四半期の資本的支出は214億ドルに減少し、過去2年以上続いた増加傾向に初めて歯止めがかかった。これはAI需要に対応すべく突貫工事で進めてきたデータセンター投資に一服感が出たことを意味する。ただしマイクロソフトは新年度(7月以降)も引き続き投資は継続するとしており、構造的な成長戦略の中での緩やかな調整と見るべきだ。市場はこの減速を一部で長期需要減の兆しと見る向きもあるが、現時点でAIインフラの供給能力が追いついていないとの説明は、むしろ需給ギャップの継続を示唆している。
AI搭載サービスへの移行とユーザーごとの課金構造の強化により、単価上昇が見込まれる限り、インフラ強化は不可欠な要素である。マイクロソフトが意図的に投資ペースを調整しているのであれば、それは財務健全性を保ちながら需要を見極める慎重な姿勢の表れとも捉えられる。市場はこのバランスを見極める局面にある。拡大だけではない、資本効率の観点を重視する局面に入ったともいえる。
Source:msn