マイクロソフトは2025年度第1四半期決算で、売上高701億ドル、1株利益3.46ドルといずれも市場予想を上回った。特にマイクロソフトクラウドは前年同期比20%超の成長を記録し、AIとクラウド分野の需要が同社の業績を押し上げた。決算発表後、株価は時間外で7.92%上昇し、426.57ドルを記録。CEOナデラはAIとクラウドが今後の経済成長の中核を担うと強調。
クラウド移行の進展や新技術「Majorana One」なども発表され、イノベーション主導の成長姿勢が際立った。一方でAI処理能力の制約や規制強化、競合激化といったリスクも示唆された。堅調な決算と強気な見通しにより、市場はマイクロソフトの戦略的優位性を改めて評価した。
クラウド事業が収益の柱に成長 前年比20%超の伸長を記録

2025年度第1四半期において、マイクロソフトはクラウド事業「Microsoft Cloud」の売上を424億ドルまで伸ばし、前年同期比で20〜22%の成長を遂げた。これにより、同社の全体売上高は701億ドルとなり、市場予想の685億ドルを上回った。特にクラウド関連の需要はデータベース移行やAI連動の進展により底堅く、AzureやDynamics、Microsoft 365など複数のプロダクトが一体となってシェア拡大に寄与した。加えて、為替影響を除いた営業利益は16%増と、収益性も向上している。
このような成果の背景には、企業のクラウドシフトとハイブリッドワーク需要の高まりがあると考えられる。データセンターの電力や設備の制約にもかかわらず、需要に応じた柔軟な拡張を可能にする同社の対応力は、市場競争においても重要な優位性をもたらしている。結果として、クラウド領域はもはや単なる成長事業ではなく、マイクロソフトの収益構造の中核に位置付けられる存在となった。
生成AIと量子技術への投資が象徴する長期戦略
今期の決算説明会では、クラウドに加えて生成AIや量子コンピューティングへの取り組みが強調された。とりわけ「Majorana One」と名付けられた新たな量子構想は、10年超にわたり研究開発が続けられてきた成果であり、長期的な競争優位を見据えた戦略の一端を担う。さらに、AIによる収益は今期は限定的だったものの、供給能力の前倒しによりプラスの影響が生じており、今後の成長ドライバーとしての期待が高まっている。
マイクロソフトはAI分野において既に多額の設備投資を行っており、15年以上のスパンでの収益化を見込む姿勢を明確にしている。これらの動きは、同社が目先の四半期成績に依存せず、中長期での技術優位性を確立しようとする強い意志の表れである。ただし、AI処理能力やインフラ供給の制約、規制強化など複数のリスクも並行して存在しており、その克服が次の成長曲線を描く鍵となる。
株価は7.92%急騰 市場が評価したのは持続的成長性
決算発表後、マイクロソフト株はアフターマーケットで7.92%の急騰を記録し、426.57ドルで取引を終えた。これは市場予想を上回るEPS(1株利益)3.46ドルおよび堅調な売上成長を受けたものであり、投資家が同社の業績に対し高い信頼を寄せていることを示している。また、多くのアナリストが415〜650ドルの目標株価を掲げており、今後の評価も強気に傾いている。
株価の動きは、単なる数値の好転だけでなく、同社の戦略が確実に市場に届いている証左とも言える。生成AIやクラウドといった先端分野でのリーダーシップを維持しつつ、経済変動や設備供給などの不確実性に柔軟に対応していく姿勢が評価されている。ただし、現段階では非AIサービスの伸長が収益を主導しており、AIによる本格的な収益貢献には一定の時間を要するとの見方も根強い。
Source:Investing.com