Meta Platformsは四半期決算で広告収益の成長と予想を超える業績を示し、AI能力の強化に向けた設備投資計画を従来の640億ドルから720億ドルへと再度上方修正した。CEOマーク・ザッカーバーグは「AIにおける我々のチャンスは驚異的」と述べ、2024年比で倍増する投資水準が今後の成長基盤になるとの意向を示した。

この動きは同業他社のMicrosoftやAlphabetがそれぞれ800億ドル、750億ドルのインフラ投資を掲げる中での対応でもあり、生成AI競争の激化を示唆している。またMetaは、ChatGPT類似の対話型アプリ「Meta AI」も発表し、戦略的な事業拡張を加速させている。株式市場はこの姿勢を好感し、発表直後の時間外取引でMeta株は5%以上上昇したが、年初からの下落基調を取り戻すには至っていない。

AIインフラ投資を再加速 Metaの年間支出計画が720億ドルに到達

Meta Platformsは2024年に続き、2025年も大規模なAI関連投資を推進する姿勢を明確にした。今回、年間設備投資を従来の640億ドルから720億ドルに引き上げると発表したが、これは1月に上方修正した直後のさらなる増額である。2024年の実績である390億ドルと比較すると、約1.8倍という急激な投資拡大であり、AI技術の中核化を念頭に置いた積極的な戦略が浮かび上がる。

この背景には、Metaが掲げる長期的なAI戦略がある。マーク・ザッカーバーグCEOは決算説明会で「AIにおける我々のチャンスは驚異的」と述べ、生成AIやマルチモーダルAIの展開において競争優位を築く意欲を強調した。Metaはすでに独自のAIモデルを活用した製品群を拡充しており、新たに公開された対話型アプリ「Meta AI」はその代表格である。

ただし、AI関連投資には長期的な回収期間が伴うため、収益貢献が明確化するには時間を要する可能性もある。投資家は今後、業績への波及効果を注視する姿勢を強めると見られ、市場の期待と懸念が交錯する局面が続くであろう。

MicrosoftとAlphabetに呼応するMetaの投資戦略 AI覇権競争の構図

Metaの今回の投資拡大は、単独の動きにとどまらず、テクノロジー大手間でのAI覇権争いの一環として捉える必要がある。Microsoftは2025年度に800億ドル、Alphabetは2024年に750億ドルをそれぞれ設備投資に充てる方針を示しており、Metaの720億ドルという水準はこれに肩を並べる規模である。いずれもAIインフラと半導体リソースの強化が主眼にあり、クラウド、検索、SNSといった基幹領域をまたいだ競争が展開されている。

こうした競争の激化は、生成AIを中心としたサービスの急拡大が背景にある。利用者数の爆発的な増加に伴い、演算資源とモデル訓練のためのインフラ整備が喫緊の課題となっており、各社とも先行投資を惜しまない姿勢を示している。Metaはその中で、プロダクトとしてのAIをユーザーとのインターフェースに組み込み、直接的な利用価値として提供しようとする点で差別化を図っている。

ただし、投資額の巨額化に伴う資本効率の悪化や、短期的な利益圧迫といったリスクも無視できない。株主からの視線も厳しくなる中、どの企業がこの「AI資本競争」において持続可能なリターンを示せるかが、今後の市場評価を大きく左右する。

Source:Investopedia