ロビンフッドは2025年第1四半期に1株当たり利益37セント、売上高は前年比50%増の9億2700万ドルを記録し、FactSet予想を上回った。取引収益は仮想通貨が前年比2倍の2億5200万ドル、オプションが56%増の2億4000万ドルと好調だった一方で、株式取引収益は市場予想を下回った。

月間アクティブユーザー数は前年同期から70万人増の1440万人だったが、前四半期および市場予想の1510万人を下回った。仮想通貨の名目取引高や株式の出来高はピークから減少傾向にあるものの、オプション取引は引き続き堅調に推移している。

株価は決算後の時間外取引でわずかに上昇。年初来では31%上昇しているが、2月の高値からは依然として下落基調が続く。

仮想通貨収益は前年比2倍も、取引規模の縮小が重しに

ロビンフッドの2025年第1四半期決算では、仮想通貨による収益が前年比100%増の2億5200万ドルと、前年の1億2600万ドルから倍増した。FactSetの事前予想を上回る水準であり、取引手数料収入の拡大に寄与している。これにより、同社の総取引収益は77%増の5億8300万ドルに達した。一方、仮想通貨の名目取引高は2024年11月の352億ドルから2025年2月には144億ドルまで落ち込んでおり、ビットコイン価格も1月の約10万9000ドルから2月には8万4000ドルへと急落した。

この数字の乖離は、ユーザー単価の上昇やスプレッドの拡大によるものである可能性がある。特に、価格の乱高下が大きい局面では取引回数が増える傾向にあるが、相場が調整局面に入った場合には収益の安定性に疑問が残る。さらに、イーサリアムやドージコインといった他の主要銘柄も、2024年12月から55%〜63%の下落となっており、今後の取引熱の冷え込みも視野に入れる必要がある。

仮に仮想通貨市場全体の時価総額が2月の2.79兆ドルから再度上昇基調を描けない場合、ロビンフッドの収益モデルは中長期的に脆弱さを露呈するおそれがある。短期的には市場の反発によって一時的な回復が見込まれるものの、持続的な成長には新たなプロダクト投入や顧客基盤の質的拡充が必要不可欠であろう。

月間ユーザー数は増加も、成長の鈍化と予想未達が示す課題

ロビンフッドの月間アクティブユーザー数は、前年同期の1370万人から1440万人へと微増したが、市場予想の1510万人には届かず、前四半期の1490万人からも減少した。ユーザーの増加幅は限定的であり、成長の勢いに陰りが見え始めている。特に、2021年以降のミーム株ブームで拡大した顧客基盤が成熟しつつある今、新規ユーザーの獲得スピードが鈍っていることは看過できない事実である。

また、仮想通貨や株式市場のボラティリティ低下に伴い、取引頻度の減少がユーザーのエンゲージメント低下に直結している点も見逃せない。加えて、株式取引による収益が前年同期比44%増の5600万ドルにとどまり、市場予想の6000万ドルを下回ったことは、ユーザーの取引意欲そのものが減退している兆候とも読み取れる。

今後の課題は、単なるユーザー数の増加ではなく、1人あたりの利用価値をいかに高めるかにある。取引機能や金融商品ラインアップの拡充、教育コンテンツの提供などによる差別化が必要であり、単なる手数料モデルからの脱却が成長持続の鍵を握る。成長鈍化は一過性の問題ではなく、構造的な転換点を迎えつつあると捉えるべきであろう。

Source:investors business daily