著名投資家マイケル・バーリが最大保有銘柄とするアリババ株に対し、ウォール街のアナリストが最大42%の上昇余地を見込んでいる。4月には一時25%下落しながらも、年初来では40%超の上昇を維持しており、目先の調整を超えて長期的な成長期待が根強い。
特に、みずほ証券とシティが揃って170ドル近辺の目標株価を提示し「買い」評価を継続するなど、大手金融機関の見解も強気に傾いている。5月1日時点で、58人中54人の専門家がBABA株を「買い」または「強く買い」と評価し、市場全体の楽観的な見方が明確に示されている。
一方で、中国企業を取り巻く地政学的リスクや最低価格目標の存在など、不確実性が完全に払拭されたわけではない。今後の株価推移には、政策動向や貿易環境の変化が大きく影響を与える可能性がある点に注意が必要である。
アナリスト評価が示すアリババ株の中長期的成長見通し

アリババ株(NYSE: BABA)は、4月に25%超の急落を記録し一時的に市場の信認を揺るがせたものの、年初来の上昇率は依然42%を超えており、底堅い成長基調が維持されている。Finboldによると、2025年5月1日時点でTradingViewに登録された58人の専門家のうち、54人がBABA株を「買い」または「強く買い」と評価し、目標株価の平均は164.77ドルに設定されている。現在の水準から約38%の上昇余地があるとの見方は、短期的な下振れを一時的要因と位置づけ、企業の本質的価値に対する評価が変わっていないことを示唆する。
みずほ証券は3月28日に、アリババ株の目標株価を170ドルとし、現行の終値水準119.43ドルから42%の上昇を見込んでいる。一方、シティも4月8日に目標を169ドルに修正しつつ、評価は「買い」を維持した。このような一貫した強気姿勢は、プラットフォームとしての成長力やテクノロジー領域での優位性が依然として高いと認識されていることに起因する。特に中国国内市場における消費回復とクラウド事業の成長が、中長期の収益拡大に貢献するとの予測が根底にあると見られる。
もっとも、アナリストの評価が強気一色であるわけではなく、最低価格目標は94.55ドルとされており、一部には慎重な見方も残る。米中関係の緊張や地政学的リスク、政策の不透明性といった外部環境が影響を及ぼす可能性も踏まえ、今後の株価推移には引き続き注意が求められる。
マイケル・バーリの投資戦略とアリババ選好の背景
著名投資家マイケル・バーリが率いるScion Asset Managementにおいて、アリババ株は最大の保有銘柄であり、同氏の戦略的な投資眼の下で選好されていることは注目に値する。これまで同氏は、バリュー投資の立場から過小評価された資産に着目し、大きな逆張りを成功させてきた実績がある。バーリのポートフォリオにおいてアリババが占める比率の高さは、同社のキャッシュフロー創出力やユーザーベースの厚さを長期的な競争優位性と見なしている可能性がある。
実際、同氏がBABA株への投資を続ける背景には、現時点での株価が企業の本源的価値を十分に反映していないとの見立てがあると考えられる。とりわけ米中対立により市場全体が中国株に対して過剰なリスクプレミアムを付与している状況下において、アリババのような収益性・成長性に優れた企業が割安放置されていると見ている可能性が高い。
ただし、短期的には米中の政策対立、関税問題、さらには中国政府によるIT大手への規制再強化といった外部要因がボラティリティの要因となる。バーリのような長期視点の投資家であっても、こうした地政学的リスクを踏まえたリスク許容度の高さが前提となっており、一般投資家が同様の投資判断を下すには慎重な分析が必要である。
Source:Finbold