ビットコインの短期保有者が、含み益を背景に大規模な利益確定を進めている。過去24時間で2万6,000BTC超が取引所へ流入し、30日間の需要モメンタムはマイナス48万BTCにまで急落。これによりスポット需要が大幅に後退し、市場は弱気ムードが色濃い。長期保有者は静観姿勢を崩しておらず、短期保有者との売買行動の乖離が鮮明になっている。

特にSOPRやProfit-Taker RSIなどの指標が高水準を示すなか、ビットコイン価格は上昇トレンドの転換点を迎える可能性がある。このまま売り圧力が続けば、価格は9万2,000〜9万5,000ドルでの停滞が濃厚となり、9万6,000ドル超えにはさらなる需給の変化が不可欠である。

短期保有者のSOPRと取引所流入から見える売却の実態

ビットコイン市場では、短期保有者による売却圧力が顕著となっている。CryptoQuantのデータによれば、短期保有者のSOPR(Spent Output Profit Ratio)は過去10日間にわたって1を上回り続けており、これは売却時点で利益が出ていることを示している。これに加え、過去24時間だけで2万6,000BTC以上が取引所へ送金されたが、そのすべてが保有期間1か月未満の投資家によるものである。こうした短期的な流入が継続していることは、市場における「利益確定ムード」の高まりと、価格上昇へのブレーキ要因となっている構図を明確にする。

また、Glassnodeのデータが示すように、スポット取引量のデルタ(7日移動平均)は-3億100万ドルと大きくマイナスに転じており、売却主導の相場が展開している状況である。Profit-Taker RSIも82という高水準を記録しており、ここからも利益確定がピークに達しつつある可能性がうかがえる。こうした短期的な動きが示すのは、価格高騰に乗じた利食い傾向が一気に強まり、需給バランスが崩れつつあるという構造的な警鐘である。

今後の展開としては、このような短期保有者主導の取引が一巡するまでは、上昇モメンタムの持続性は限定的である可能性が高い。したがって、取引所への流入動向やSOPRの推移は、短期的な価格変動を見極めるうえで重要な指標となる。

需要モメンタムの低下が示唆する中期的な停滞リスク

需要モメンタムの急落は、ビットコイン市場の構造変化を示唆している。CryptoQuantによると、30日間の需要モメンタムは-48万BTCという大幅なマイナスに転じており、これは短期保有者の売却量が長期保有者の買い支えを上回っている状態を意味する。この種のモメンタム指標が強くマイナスを示す局面では、短期的な価格反発が抑制される傾向があるため、市場の反転には相応の時間を要する可能性がある。

また、この構造的な需要不足は、単なる利益確定の域を超えて、市場全体のリスク回避的な姿勢を反映していると見られる。特に注目すべきは、長期保有者が現在の局面で売却に転じていないという点である。これは一見すると安心材料のように見えるが、裏を返せば、新規の強力な買い手が不在であることも意味する。市場が長期保有者の「静観」と短期保有者の「積極的な利食い」の板挟みとなっている以上、大幅な上昇は望みにくい構図が続くと見られる。

現時点では、価格が9万2,000ドル〜9万5,000ドルのレンジで一時的に停滞する可能性が高い。モメンタムの復調には、短期保有者による売りが一巡し、かつ長期保有者や新規参加者が市場に再び関心を示す必要がある。この点において、需要モメンタムの反転は価格回復の前提条件といえるだろう。

Source:AMBCrypto