世界的投資家ウォーレン・バフェットが個人投資家に推奨してきた「低コスト・分散投資」の原則を体現する3本のETFが注目されている。Vanguard Total Stock Market ETF(VTI)は経費率0.03%で米国市場全体に網羅的に投資できる一方、Vanguard International Total Stock Market Index Fund(VTSNX)は米国外の株式市場へも広く分散が可能で、国際株の上昇トレンドを捉える設計となっている。

加えて、Schwab U.S. Dividend Equity ETF(SCHD)は財務健全性と高配当を兼ね備えた企業群への投資を通じて、長期収益の安定化を目指すものである。個別株選定に労力をかけられない投資家にとって、これらETFはポートフォリオの中核を担う候補となり得る。

全米株に網羅的に投資可能なVTIの低コストと構成特徴

Vanguard Total Stock Market ETF(VTI)は、米国株式市場における最も包括的なインデックス連動型ETFの一つであり、経費率はわずか0.03%と業界最低水準を誇る。構成銘柄は大型株にとどまらず、中小型株も含む約4,000銘柄に分散されており、米国取引所で上場している企業全体を対象とすることが特徴である。

これにより、VTIはS&P500に偏重しがちな他のETFと異なり、より市場全体の成長性を反映する設計となっている。特に近年は、生成AIやグリーンエネルギー分野に属する新興中小型株がパフォーマンスを牽引する場面も見られ、時価総額による偏りが少ない本ETFは長期的に優位性を発揮する構造を持つ。

本ファンドは、個別株の選定や市場タイミングに左右されず、米国経済の総体的成長を享受する手段として有効であると考えられる。また、構成銘柄の入れ替えやリバランスは自動的に行われるため、投資家は手間をかけずに最新の市場動向に即した資産配分を維持できる。

特定のセクターや業種に偏重しない構成は、市場の変動時におけるリスク緩和にも寄与する。バフェットが一貫して「インデックスファンドこそ個人投資家の味方」と説いてきた背景には、まさにこうした点への評価があると言えるだろう。

VTSNXによる国際分散と新興国市場のパフォーマンス要素

Vanguard International Total Stock Market Index Fund(VTSNX)は、米国外の株式に対する広範なエクスポージャーを提供するETFであり、FTSEグローバル・オールキャップ・エクスU.S.インデックスに連動している。先進国から新興国まで、米国を除く世界中の上場株式を対象とし、地域的にも業種的にも高い分散性を有する。このETFの経費率は0.06%と依然として非常に低水準であり、米国株ETFと併せて保有することで、世界経済全体へのバランスの取れた投資が実現できる。

2025年第一四半期において、国際株式市場は米国株を凌駕する成績を記録しており、特に新興市場では消費拡大やインフラ投資が株価上昇の原動力となっている。また、米国の貿易政策や関税の不確実性を回避する手段としても、米国外への分散投資は意味を持つ。

個人投資家が今後の地政学リスクや為替変動を慎重に見極める必要はあるものの、VTSNXは分散とコストの観点から極めて合理的な選択肢であると位置づけられる。市場の構造変化に対する適応力と、経済成長の新たな源泉を取り込む柔軟性を備えている点は、米国中心のポートフォリオでは得られない優位性である。

安定配当と財務健全性を重視したSCHDの堅実性

Schwab U.S. Dividend Equity ETF(SCHD)は、安定した配当支払いと堅固な財務基盤を持つ米国企業への投資を目的としたETFであり、ダウ・ジョーンズ米国配当100指数に連動する。対象となる企業は、過去にわたり安定的な配当履歴を持ち、ROEや負債比率などの財務健全性指標でも高評価を受ける銘柄に絞られている。通常、配当利回りは3%から4%の範囲で推移しており、インカムゲインを求める長期保有型の投資家にとって魅力的な水準である。

インフレや金利上昇などのマクロ経済要因により株式市場のボラティリティが増す中、配当収益はリターンの安定化要因となり得る。また、企業業績が安定しており株主還元に積極的な銘柄群は、景気後退局面でも下値が堅く推移する傾向がある。

将来の退職や資産形成を見据える中高年層にとって、配当重視型の戦略は資産の持続性を高める効果が期待できる。VTIやVTSNXと組み合わせることで、成長性と安定性を兼ね備えた三本柱のポートフォリオを構築できる点に、投資家が着目するのは自然な流れといえる。

Source:24/7 Wall St.