ウォール街のアナリストはMicrosoft株に対し、今後12か月で平均477.75ドルへの上昇を予測し、現在の水準から約21%の伸びを見込んでいる。背景には好決算とAzureクラウドの33%成長があり、時間外取引では株価が8.44%急騰した。

過去3か月間の評価では「売り」判断は皆無で、「買い」が26名、「保留」が3名という極端に強気な構図が示されている。最強気のシナリオでは595ドル、最も保守的でも430ドルまでの上昇が視野に入る。AIインフラへの巨額投資継続が、データセンター過熱懸念への反論材料となっており、今後の成長持続に期待を持たせている。

アナリスト29名中「売り」ゼロ Wall StreetのMicrosoft評価は極端な強気姿勢

米株分析プラットフォーム「TipRanks」によると、Microsoft(MSFT)に対するウォール街の評価は異常なまでに楽観的である。直近3か月間で評価を行った29名のアナリストのうち、「売り」と判断した者は一人もおらず、「買い」が26名、「保留」が3名という構図が示された。平均的な12か月目標株価は477.75ドルで、現在の終値395.26ドルからおよそ20.87%の上昇余地を残している。中には、50%超の上昇を見込む595ドルという予測すらあり、最も悲観的な見解でも430ドルと、プラス成長を維持している。

この背景には、4月30日に発表されたMicrosoftの決算内容が大きく作用している。四半期売上高は700億7,000万ドルで、予想を20億ドル以上上回り、1株当たり利益(EPS)も3.46ドルと、市場予想の3.22ドルを大きく上回った。特に注目を集めたのはAzureの成長率であり、前年同期比33%増という数字は、多くの予想(29〜30%)を凌駕した。

こうした事実は、アナリストの強気姿勢を補強する決定打となっている。ただし、これはあくまでも現時点での市場心理を反映したものであり、地政学リスクやデータセンターバブルの可能性といった懸念材料は依然として存在している。買い推奨が集中する今こそ、期待値と実態の乖離に目を向ける冷静さが求められる。

好決算とAI投資継続が示す中長期戦略 Azure33%成長の裏にある構造変化

Microsoftの最新決算は、単なる短期的好業績の報告にとどまらず、構造的な中長期成長の布石として市場に受け止められている。2025年第1四半期の売上高は前年同期比16%増の700億7,000万ドル、Azureの成長率は33%と、クラウド市場における圧倒的な存在感を再確認させる内容であった。特筆すべきはこのAzureの成長が単なる一過性の需要ではなく、企業のAI需要を背景としたインフラシフトによるものである点にある。

加えて、Microsoftは今後も数百億ドル規模でAIインフラへの投資を継続する方針を明確にしており、これがデータセンターバブルへの批判に対する一種のカウンターとして機能している。営業利益率が43.35%と予想(43.5%)をやや下回ったとはいえ、その差はごく僅かであり、利益の質も高い。

このような決算内容は、単なる数字の優位性以上に、長期的視点での収益構造の健全性を浮き彫りにするものだと考えられる。従来のソフトウェア企業の枠を超え、AIプラットフォーマーとしての基盤を着実に築いている様子が見て取れる。今後の注目点は、この膨大な投資がいかに収益化に転じるか、そのタイミングと持続性にかかっている。

株価は時間外取引で急騰 投資家心理が示す「第2の強気相場」の兆し

決算発表翌日の時間外取引において、Microsoft株は8.44%の急騰を見せた。通常取引終了時の395.26ドルに対し、時間外では428.61ドルまで跳ね上がり、これは投資家心理が一気に強気へと傾いた証左といえる。この動きが続けば、同社株は木曜の寄り付きで年初来チャート上、初めてプラス圏へ浮上することになる。

このような反応は、数字上の好業績に加え、将来の成長可能性に対する市場の期待感を反映している。特に、AIインフラ投資やAzureの成長が示す「次世代の収益源」への信頼が、株価上昇に拍車をかけたものと解釈される。ただし、こうした反応は短期的な勢いに過ぎず、楽観が過ぎると反動も大きくなる点に留意が必要だ。

現時点では、株価と企業価値が健全に連動しているように見えるが、実体経済への波及や米中摩擦、インフレの再燃といった外部要因が今後のボラティリティを増幅させる可能性も残されている。したがって、足元の株価急騰を無条件に歓迎するのではなく、企業の持続的競争力を冷静に見極める姿勢が求められる局面にある。

Source:Finbold