モルガン・スタンレーによると、Appleが展開するAI機能「Apple Intelligence」は、米国のiPhoneユーザーの約8割が既に利用しており、予想を超える普及速度を示している。調査では、購入時にApple Intelligenceの搭載を重視する層が過半数を超え、今後の買い替え需要を後押しする可能性が浮上している。

サブスクリプションによる収益化は未実施ながら、1ユーザーあたり月額9ドル超の支払い意向が確認されており、14億台以上のiPhoneを擁するAppleにとって年数十億ドル規模の新収益源となる可能性がある。

業績面では、第1四半期にEPS・売上とも市場予想を上回り、サービス部門の成長が高マージン戦略を裏付けた。今後の焦点は第2四半期決算であり、市場では3.7%の株価変動が想定される。AAPL株は成長性と配当安定性を兼ね備え、モルガン・スタンレーは220ドルの目標株価を提示して強気姿勢を堅持している。

米国ユーザーの利用実態が示すApple Intelligenceの市場定着力

モルガン・スタンレーの調査によれば、米国のiPhoneユーザーのうち約80%が過去6か月間にApple Intelligenceを使用していたという事実は、同機能が既に一般ユーザー層に深く浸透していることを明確に示している。

加えて、42%のユーザーが次回のiPhone購入にあたりApple Intelligenceの搭載を重視し、さらに買い替えを1年以内に予定する層のうち54%が同様の姿勢を示していることから、今後の端末販売を左右する中核的価値へと成長していることが読み取れる。

このようなユーザー行動の変化は、Apple Intelligenceが単なる技術的付加価値ではなく、購入意思決定に影響を与える主要因へと移行している状況を物語る。約14億台の稼働中iPhoneを抱えるAppleにとって、米国市場の先行導入データは世界展開の可能性を占う指標となり得る。AI機能に対する初期の懐疑的評価とは裏腹に、実際の使用状況が予想を上回ったという事実は、Appleが築いたエコシステムの強固さとUX設計の巧妙さを証明するものと言える。

数十億ドル規模の収益源となるApple Intelligenceの課金可能性

Apple Intelligenceの商業的ポテンシャルを測る上で注目すべきは、調査回答者が同機能に対して月額最大9.11ドルの支払い意向を示したという点にある。この金額がそのまま反映されるとは限らないが、仮に一部でも実現すれば、Appleにとって極めて利益率の高い収益源となる。現時点ではAppleがこのAI機能をサブスクリプション形式で提供していないが、ユーザー意識と製品の普及度合いを考慮すれば、将来的な収益化は十分な現実味を帯びている。

特に、米国だけでもiPhoneユーザーの32%が既にApple Intelligenceを利用しており、今後の成長次第ではグローバルで数億人規模の利用者基盤が形成される可能性がある。高マージンかつ継続的な収益を生むこのモデルは、Appleの既存のハードウェア売上を補完する戦略的柱として機能し得る。また、既存のApp StoreやApple Musicといったサービス収益と並び立つ存在となれば、AAPL株の長期的評価にも大きく寄与する構造が整いつつある。

EPS成長とアナリスト評価が示すAAPL株の堅調な投資魅力

2025年度第1四半期の決算では、Appleの売上が前年比4%増の1,243億ドル、EPSが同10.1%増の2.40ドルと、いずれも市場予想を上回った。特にサービス部門が263.4億ドルと堅調で、ハードウェア依存から高収益のサービス構造への移行が順調に進行していることが確認された。今後発表予定の第2四半期業績についても、アナリストはEPS1.61ドル、売上945.6億ドルと前年同期比で成長を見込んでいる。

こうした業績の安定感を背景に、モルガン・スタンレーはAAPL株に対して「オーバーウェイト」を維持し、目標株価を220ドルとした。さらに、37人のウォール街アナリストのうち過半数が「強い買い」または「中程度の買い」と評価しており、平均目標株価は239.81ドルと現在の水準から11.9%の上昇余地がある。株価収益率27.55倍という成長株としての水準は高いものの、連続増配と高マージン体質を考慮すれば、投資先としての競争力は依然として強固である。

Source:Barchart