MicrosoftはWindows 11の最新バージョン24H2でBitLocker暗号化をデフォルト化し、これが一部ユーザーのデータ喪失を招いていると報じられている。Redditでは「Microsoftの強制的なセキュリティが最大の脅威」との投稿が550以上の支持を集め、Microsoftアカウントの喪失が即座にデータ消失につながる現状が問題視されている。

従来は非Homeエディションのみの対象だったが、Homeエディションにも適用範囲が拡大された。平均的な利用者にとってデータ可用性の重要性が無視されているとの指摘が相次ぎ、専門家や技術系メディアも、Microsoftに改善と利用者への周知を求める声を強めている。

Windows 11のBitLocker暗号化が生む新たなリスク

Windows 11の24H2アップデートにより、これまで主に非Homeエディションで利用されてきたBitLocker暗号化がHomeエディションにも拡大された。これにより、Microsoftアカウントに紐付けられたデータ暗号化が自動的に有効化されるケースが増えている。特にRedditユーザーMorCJulの投稿では、Microsoftが暗号化を強制することで、MSアカウント喪失時にデータが復元不能になる事例が多発していると指摘され、約550の支持を集めた。過去にはBitLockerによるパフォーマンス低下が問題視されたが、今回はデータ喪失というより深刻な懸念が表面化している。MicrosoftはTPMとBitLockerによるセキュリティ強化をアピールしてきたが、この取り組みが逆に一般利用者のデータ安全性に影響を及ぼしている可能性がある。

データ保護の名のもとに導入された仕様が、一般家庭の写真やドキュメントといったかけがえのない情報を奪うリスクを抱える以上、利用者側の準備や知識が不可欠である。特にMSアカウントの管理や回復キーの保管に関する周知が徹底されなければ、今後さらなるトラブルが増えるおそれがある。

デフォルトの安全設計が抱える落とし穴

Microsoftは公式に「デフォルトで安全」という方針を掲げ、最新アップデートで暗号化を標準化する流れを強めてきた。この背景にはTPMチップの普及やセキュリティ意識の高まりがあるが、現実には日常的な利用者にとって大きな負担となりかねない。特に技術に不慣れな層では、OSインストール時にBitLockerが有効化されていたことに気づかず、MSアカウントにアクセスできなくなった際に回復手段がない状況に陥るケースが報告されている。

Microsoftが提供する公式ガイドやレジストリ操作による回避策は存在するが、それらの情報は十分に周知されていない。セキュリティ強化は重要であるものの、それが利便性や可用性を犠牲にしてしまえば本末転倒である。企業としては安全策とユーザー配慮のバランスをとりつつ、分かりやすい説明と設定選択肢の明示が求められる。

求められる情報提供とユーザー教育の強化

現在、BitLockerの仕様やリスクは一部の技術メディアやコミュニティでのみ議論され、一般層への情報浸透が不足している。Neowinが指摘するように、技術に詳しくない利用者はデバイスの暗号化状態や回復キーの重要性を理解しておらず、トラブル発生時に初めてその存在を知るケースが目立つ。特に家庭用PCの範囲まで暗号化対象が拡大したことで、問題の広がりは限定されない状況になっている。

Microsoftには、単に公式ガイドを用意するだけでなく、セットアップ画面や通知での明確な説明、わかりやすいバックアップ手順の提示が求められる。データ保護は技術の進化だけでは完結せず、最終的には人への配慮と教育が鍵となる。今後のアップデートでは、利用者が「知らなかった」という事態を未然に防ぐ仕組みの整備が必要だと考えられる。

Source:Neowin