AMDの次世代プロセッサに関する未発表情報が相次いで明らかとなった。Ryzen 9000Gシリーズは、Zen 5アーキテクチャとRDNA 3.5グラフィックスを統合した「Gorgon Point」APUを中核とし、AM5ソケットを採用するデスクトップ向けモデルと、FP8ソケットを使用するノート向け派生型で構成されるとされる。
さらに、Zen 6ベースの新型APU「Medusa Point」は、新設計のFP10ソケットを使用し、現行プラットフォームとの互換性を持たない点が注目される。これらの情報は信頼性の高いリーカーや開発者リポジトリからの分析に基づくものであり、2025年に予定されるComputexおよびAI関連イベントにおいて公式発表される可能性が高い。
加えて、エントリー向けArmベースの「Soundwave」、組み込み用途の「Fire Range」、さらには次世代Epyc「Grado」など、AMDはx86およびArm両陣営で多角的な展開を図っている。
Ryzen 9000GとMedusa Pointが示すソケット戦略の転換点

AMDは、Ryzen 9000Gシリーズにおいてデスクトップ向けにはAM5、モバイル向けにはFP8ソケットを採用する方針を打ち出し、既存Ryzen 8000Gシリーズからの系譜を継承しつつ、性能と互換性の最適化を狙っている。
Gorgon PointはStrix Pointの刷新版とされ、Zen 5コアおよびRDNA 3.5 GPUを搭載することで、演算性能と統合グラフィックスの両立を図る設計となる。一方、Medusa PointはZen 6世代の先鋒としてFP10ソケットを用いるとされ、既存プラットフォームとの非互換を前提とした全く新たなアーキテクチャの導入を意味する。
このソケット変更は、単なる物理的な接点仕様の更新にとどまらず、アーキテクチャ的飛躍と市場セグメントの再定義を伴うものとなる可能性がある。FP10の導入は、旧来の互換性を排し、将来的な製品ラインアップの柔軟な拡張性を意図した動きと解釈される余地がある。
AMDはこれまでもAM4やAM5の長期サポートを強調してきたが、ノート向けにおけるソケットの更新頻度が高い背景を考慮すれば、Medusa Pointによる刷新はハイエンドからエントリーまでの製品戦略を再構築する契機となり得る。
Threadripper 9000WXからArmベースSoundwaveまで広がる多層的展開
ハイエンドのThreadripper 9000WX(Shimada Peak)に加え、エントリー市場向けにはArmベースのSoundwaveシリーズを展開する計画が報じられており、AMDはx86とArm両アーキテクチャの共存による市場浸透を加速させようとしている。
Threadripper 9000WXは、GigabyteやAsusによるsTR5マザーボード対応の動きとも合致し、Computex 2025や6月のAdvancing AIイベントでの発表が見込まれている。また、組み込み用途を意識したFire RangeはFL1ソケットを採用し、用途特化型製品としての位置づけが想定される。
このようにAMDは、RyzenからEpyc、Threadripper、APU、ArmベースのSoCに至るまで、垂直的かつ横断的な製品展開を図っている。これは単一アーキテクチャ依存からの脱却と同時に、AIやクラウド、低消費電力用途といった多様なニーズへの応答力を高める狙いと重なる。
Soundwaveのような低消費電力ArmチップをRyzen AI 400シリーズとして投入する構想が浮上していることからも、AMDがAIエッジ用途やIoT市場を重要視している傾向がうかがえる。展開の広さは、競合他社に対する差別化の一手とも位置づけられる。
Source:TechSpot