AMDの次期プロセッサ戦略として、未発表のRyzen 9000G「Gorgon Point」およびEPYC 4005「Grado」に関する記述が公式データベースで確認された。Ryzen 9000GはZen 5アーキテクチャとRDNA 3.5統合GPUを搭載し、AM5ソケットに対応するデスクトップ向けAPUとして位置づけられる。
一方、EPYC 4005「Grado」はEPYC 4004の後継とみられ、エントリーレベルの商用・業務用途を見据えた設計が推測されている。さらに、Ryzen Threadripper 9000WX「Shimada Peak」の登場時期として2025年6月のComputexが有力視されており、AMDのワークステーション市場への布石とも捉えられる。
また、Armベースとされる「Soundwave」設計やモバイル向け「Strix Point」後継の存在も示唆され、x86とArmの複線的展開を巡る思惑が業界内で強まっている。
Ryzen 9000G「Gorgon Point」が示す統合型APUの新境地

Ryzen 9000G「Gorgon Point」は、Zen 5アーキテクチャとRDNA 3.5世代のGPUを融合させた次世代APUとしてAM5ソケットに適合する構成が確認された。
この組み合わせは、従来のRyzen 7000Gシリーズにおける統合型グラフィックス性能の限界を超えることが期待されており、エントリーから中位層までのデスクトップ市場に対して幅広い選択肢を提供する可能性がある。公式データベース内に複数の製品IDが発見されており、単一モデルではなく複数SKUでの展開が視野に入っているとみられる。
現行のStrix PointモバイルAPUとの連携や後継性についても議論があり、リーク情報では「Gorgon Point」がモバイル向けにも派生する構成であると示唆されている。
ただし、これは従来のロードマップと一部齟齬があり、製品計画の修正あるいは複線的な開発体制の可能性を含んでいる。RDNA 3.5の統合により、軽量なゲーミング用途やGPUアクセラレート処理においても性能向上が見込まれ、専用GPUを不要とする構成が一般消費者層へ浸透する契機となり得る。
Gorgon Pointは、従来型CPUとdGPUの棲み分けを再定義し、コスト効率とパフォーマンスの両立を志向する新しい製品像を提示しているとも受け取れる。これは価格帯別の製品戦略に新たな構図をもたらす可能性を内包している。
EPYC 4005「Grado」が狙う小規模商用セグメントの最適化
EPYC 4005「Grado」は、EPYC 4004の系譜を継ぐAM5ソケット対応の新型プロセッサであり、エントリー商用・エンタープライズ用途に向けた展開が想定されている。公式な製品仕様は未公開ながら、既存アーキテクチャを踏襲しつつコア数や電力効率を最適化した構成とみられており、小規模サーバーやエッジデバイスといった限定された用途における適用性が高いと考えられている。
従来のEPYCはSP5やSP6ソケットを採用するハイエンド志向の構成が主流であったが、GradoはAM5基盤を利用することで汎用マザーボードとの互換性を保持しつつ、コスト効率を最大化できる点において異なる戦略的意図を持つ。これはNVIDIAやIntelによるSMB市場向けプロセッサ展開に対抗しうる設計といえ、コア数よりもI/O機能や省電力制御の最適化に重きを置いた構成になる可能性が高い。
企業のITインフラ整備において、過剰な性能よりも「最適化された構成」が求められる場面が増える中で、Gradoの存在はAMDがスケーラブルな商用ラインアップを形成しようとする明確なシグナルである。今後、AM5プラットフォームを共通基盤とする製品戦略がさらに加速することも予測される。
Source:KitGuru