NVIDIAはワークステーション向け最上位GPU「RTX PRO 6000 Blackwell Workstation Edition」のPCB設計において、両面GDDR7メモリと三分割構造を採用し、極めて高密度な実装を実現した。この設計はRTX 5090 Founders Editionに類似しつつも、PCIeおよびディスプレイ用インターフェースのレイアウトで差異が見られる。

GB202コアを搭載し、24,064基のCUDAコアと96GB GDDR7 ECCメモリを備える本モデルは、TDP600Wのハイエンド構成となっており、既存のServer EditionやMax-Q Editionと並び複数バリエーションが存在する。現時点でNVIDIAは発売時期やベンチマークの解禁日時を明かしていない。

今回のリークにより、同社が両面GDDR7モジュールの量産設計を進めていることが確認されたが、3GB GDDR7チップは依然としてPROシリーズ限定である可能性が高い。今後のゲーミング向け展開を見据える上でも、重要な示唆を含む設計情報となっている。

高密度設計が示すNVIDIAの次世代アーキテクチャ戦略

RTX PRO 6000 Blackwell Workstation EditionのリークされたPCBは、極めて密度の高い実装が特徴的である。3分割されたコンパクトな基板構造により、GPUとGDDR7メモリ、PCIeインターフェースが独立して実装されている点が顕著で、これにより冷却効率の最適化と設計柔軟性の向上が図られている。

特にGDDR7メモリがPCBの両面に配置されている点は、従来設計に比して格段に高いメモリ帯域への対応を可能とするものであり、同時に96GBという大容量を支える物理的基盤ともなっている。

GB202をベースとしたCUDAコア24,064基の演算性能と、ECC対応のGDDR7による安定性を両立させることで、本モデルはデータセンター級の負荷にも対応し得る設計と読み取れる。3GB容量のGDDR7モジュールの使用は、現状ではPROシリーズ限定であるが、量産体制や歩留まりの見極めにおいて、今後のゲーミング向けモデルへの応用余地も考慮されている可能性がある。

この構成は単に高性能化を追求するだけでなく、ワークステーション市場におけるAI推論やレンダリング用途への最適解として、NVIDIAのプロフェッショナル向けラインアップの位置付けを一段と強固にする布石と見える。

RTX 5090との類似性と差異に見る市場セグメンテーションの意図

今回のリーク画像で示されたRTX PRO 6000の基板設計は、RTX 5090 Founders Editionのそれと類似点を多く共有する一方、実装目的の相違に基づく設計上の差異も明確に存在する。

両モデルは3分割構造、リボンケーブルを用いたインターフェース接続、両面GDDR7配置という共通構造を持つが、表示出力基板の構成が異なることや、PCIeスロット部のレイアウトなどに専用設計の意図が読み取れる。これにより、クーラー設計に互換性がない可能性が高く、同一アーキテクチャを用いつつも市場向けに最適化された派生設計が施されていることがうかがえる。

NVIDIAはこのような類似と差異の使い分けを通じて、同一GPUコアを軸にしながらも用途別の性能チューニングとマーケティングを展開している。ゲーミング向けのRTX 5090は冷却効率と動作周波数に注力する一方で、PRO 6000はECCメモリや耐久性を重視した設計に振られており、同一ハードウェアの資源を最大限に活用しながら、顧客層に対して異なる付加価値を提供する戦略が透けて見える。

この棲み分けは今後のBlackwell世代全体に波及する可能性があり、汎用性と専門性の両立を図るNVIDIAの開発方針を象徴する構造と位置付けられる。

Source:VideoCardz