ASUSがNVIDIAの次世代GPU「RTX 5080」に対応したROG Astral Dhahab Editionの投入を計画していると、Videocardzが報じた。金色とターコイズを基調とした中東風の豪華なデザインが特徴で、上位機種のRTX 5090と同様、アラビア風の装飾を採用している。
ROG Astralシリーズは現在、RTX 5080およびRTX 5090のみに展開されており、5070系への展開は見込まれていない。価格帯や販売地域は未定ながら、中東市場を主要ターゲットとする限定モデルとなる可能性が高いと見られている。
デザイン性の高さから、装飾志向の強いカスタムPC市場に一定の需要が見込まれる。ASUSが他シリーズを基に新たなDhahab Editionを拡充するかどうかが、今後の注目点となる。
ROG Astral Dhahab Editionの設計背景と市場展開の狙い

ASUSが準備中とされるROG Astral RTX 5080 Dhahab Editionは、中東文化に着想を得た独自デザインを特徴としており、既存のRTX 5090バージョンと同様に、金とターコイズの色彩にアラビア風文字を取り入れている。この装飾は単なる美的意匠に留まらず、文化的な象徴性を反映した差別化要素といえる。ヒートシンクに至るまで金色で仕上げられた徹底した設計姿勢からは、高級感を重視する特定市場向けの企画意図が透けて見える。
製品展開としては、ROG AstralシリーズがRTX 5080および5090に限定されていることから、同GPU世代におけるフラッグシップおよびハイエンドモデルのみを対象としたプレミアム戦略が読み取れる。価格帯や流通地域は未発表だが、これまでの5090 Dhahab Editionの傾向を踏まえると、中東市場を中心とした地域限定供給が想定される。また、性能面の詳細が明かされていない以上、デザイン性に重きを置いたコレクター向け需要を主眼としている可能性もある。
こうした動向は、GPU市場において性能競争とは異なる方向でのブランド差別化が進んでいる兆候とも受け取れる。ASUSがデザイン文化を活用し、地域ごとの嗜好に訴求する姿勢は、他社との差別化において戦略的価値を持ち得るものと考えられる。
下位モデル未展開の背景と今後の拡張可能性
ROG Astral Dhahab Editionの対象モデルはRTX 5080および5090に限られており、5070系やそれ以下のモデルへの拡張は現時点で予定されていないとされる。その理由として、ROG Astralブランド自体が上位GPUに特化したシリーズである点が挙げられる。現行世代において、ROG Astral仕様が存在しないモデルに対して特別デザイン版を設定する合理性は薄く、採算性や市場評価の面でも疑問が残るためである。
一方、TUF GamingやROG Strixといった別シリーズをベースに新たなDhahab Editionを展開する可能性については否定されていない。これが実現した場合、より幅広い価格帯へのアプローチが可能となり、ユーザー層の裾野が広がることになる。ただし、装飾性の高さゆえに製造コストが増加する可能性があることから、低価格モデルに同様の戦略を適用するには一定の制約が伴うと推察される。
現時点ではDhahab Editionが中東市場の文化的背景と高級志向に対応する特化モデルとして位置づけられており、他地域での拡販についても限定的とみられる。しかし、高級装飾志向のカスタムPC市場に一定の需要が存在することを踏まえると、今後の反響次第でASUSがシリーズを拡充する余地は残されている。製品の位置づけと市場動向のバランスを見極めた上での戦略的判断が鍵を握ることになるだろう。
Source:OC3D