Nvidiaの次世代ワークステーション向けGPU「RTX Pro 6000 Blackwell」が、日本および欧州の複数オンラインショップで姿を現した。日本では1,630,600円、英国では約10,400ドル相当で予約販売が始まっており、これは米国の初期掲載価格8,565ドルを上回る水準である。前世代「RTX 6000 Ada」比で約26%の価格上昇となる。

本製品はGB202チップを採用し、24,064基のCUDAコアと96GBのGDDR7メモリを搭載するなど、極めて高い演算性能を誇る。AIトレーニングや3Dレンダリングといった高負荷処理を担うプロフェッショナルに向けた設計でありながら、Geekbenchベンチマークではコンシューマー向け「RTX 5090」に若干届かない結果となっている。ただし、これはプレリリース版および初期ドライバによる性能制限の影響が考えられる。

価格面では一般利用者にとって手の届きにくい領域であり、事実上は法人向けに限定されると見られる。大量メモリと演算資源に対する費用対効果が問われるなか、企業ユーザーは前世代との比較と導入価値を慎重に見極める必要がある。

世界市場で明らかになった価格設定と仕様の全貌

Nvidiaの次世代ワークステーション向けGPU「RTX Pro 6000 Blackwell」が、日本、英国、米国といった複数市場に登場し、その価格帯が明確になりつつある。日本国内では163万円超、英国のScanでは約10,400ドル、米国での初出価格は8,565ドルと報じられており、地域ごとに1,800ドル近い価格差が見られる。前世代モデル「RTX 6000 Ada」に対しては約26%の値上がりであり、高性能化と価格上昇が連動している構図が浮き彫りとなった。

仕様面では、GB202チップに基づき、24,064基のCUDAコアを搭載し、96GBのGDDR7メモリを実装。ブーストクロックは2,617MHzとされ、AI開発やシミュレーション用途を念頭に設計されている。特に、同チップを共有する「RTX 5090」が21,760CUDAコア、32GBメモリ構成であることと比較すると、明確にプロフェッショナル仕様であることが読み取れる。Geekbench上でのOpenCLスコアは368,219ポイントとされ、「RTX 5090」の376,858ポイントをわずかに下回る水準にある。

ただし、これはあくまでプレリリース段階での初期ドライバによる結果であり、製品の真価を完全に反映するものとは言い切れない。実運用においては、完成版ドライバの最適化や電力制限の解除により、更なる性能向上が見込まれる可能性も考慮されるべきである。

企業ユーザーが直面するコスト対性能の選定課題

「RTX Pro 6000 Blackwell」の登場は、高性能GPUを必要とする法人ユーザーにとって新たな選択肢を提示するものではあるが、その価格設定は用途によっては大きな障壁となる可能性がある。特に96GBという大容量メモリが真に求められるユースケースは限定的であり、費用対効果を冷静に見極めなければ導入リスクを孕む。

現時点で同GPUのベンチマークスコアは、コンシューマー向け最上位「RTX 5090」と拮抗しており、一般的な3Dレンダリングやレイトレーシングにおいては、下位モデルでも十分な性能が確保できるという判断も成り立つ。その一方で、大規模なAIモデルの訓練や複雑な科学技術計算など、メモリ容量と演算資源を最大限活用できる領域では、ブラックウェル世代の優位性が発揮される余地がある。

また、初期段階での価格変動の幅も大きく、北米と欧州・アジア間で1,000ドル以上の差が生じている現状は、企業の購買判断をより複雑にしている。供給状況や為替影響による価格調整の可能性を考慮すると、導入時期の選定や競合製品との比較評価が、今後の導入成否を分ける重要な要素となる。特定用途に特化した性能が必要とされる場合を除けば、同製品はあくまでも一部の高度専門職ユーザーに向けた戦略的製品と位置付けられる。

Source:Tom’s Hardware