2025年5月時点での「マグニフィセント7」銘柄の評価において、AmazonやMicrosoftはアナリストから依然として「ストロングバイ」の支持を受けている一方、Teslaは業績不振とCEO発言によるブランド毀損が重なり、評価が大きく後退している。米中貿易摩擦の激化と関税問題は一時的な反発を経て、特にAppleやNvidiaの成長性に不確実性をもたらしたが、MetaやAlphabetは業績改善で一定の安定感を取り戻している。全体として、テック大手の勢力図は依然変化の只中にあるが、その中でも事業基盤の堅牢性と成長分野への集中度が株価評価に強く反映されている。

AmazonとMicrosoftが市場の信認を維持する背景

Amazonは2025年第1四半期決算において、売上が前年同期比8.7%増の1,557億ドルに達し、全事業セグメントで成長を示した。GAAPベースの1株利益(EPS)は1.59ドルと市場予想を0.23ドル上回り、収益性の強さを裏付けた。マイクロソフトもまた、第3四半期における売上が700.6億ドル、EPSは3.46ドルであり、いずれも市場予想を大幅に上回った。Azureを中心とするクラウド事業の成長が評価され、株価は5月1日に7%以上上昇している。

Barchartの評価では、Amazonはスコア4.83、Microsoftは4.74と極めて高く、共にアナリストの大半から「ストロングバイ」の推奨を受けている。特にAmazonは、53人中46人のアナリストが「ストロングバイ」と評価し、目標株価は244.40ドルと現値比+28.6%の上昇余地が見込まれている。マイクロソフトは同様に46人中38人が最高評価を付け、目標株価は505.30ドルで+16%の上昇が期待されている。

両社に共通するのは、クラウドやAIといった長期的成長分野における明確な競争優位である。加えて、グローバルな供給網の柔軟性と多角化戦略が、地政学リスクを相対的に抑えている点も高評価の背景にあると考えられる。

テスラの評価低下と市場不信の連鎖

テスラは2025年に入ってからの株価下落率が30.6%に達し、マグニフィセント7の中でも最も深刻な調整を受けた銘柄である。第1四半期の決算では、自動車売上が前年比で20%減少し、利益も市場予想を下回った。また、BYDなど中国勢との競争が激化し、同国での販売減少が収益を圧迫している。こうした事業環境の悪化に加え、イーロン・マスクCEOの政治的発言がブランドイメージに負の影響を与えたとの見方も根強い。

アナリストの評価は分かれており、Barchartのスコアは3.34にとどまる。41人中16人が「ストロングバイ」を付けてはいるものの、10人は「ストロングセル」とし、市場での意見が大きく分かれている。現在価格に対して最大目標株価は465ドルと+61.9%の上昇余地があるが、それは限定的な成長回復を前提としているにすぎない。

テスラの事業は本質的にボラティリティが高く、EV市場における競争激化や規制リスク、経営陣の発信による信頼性の変動など、株主にとっての不確実性が大きい。投資家にとっては、業績だけでなく、政治・社会的文脈の影響を慎重に見極める必要がある状況が続く。

貿易摩擦と関税動向が銘柄格差を拡大

2025年初頭の米中貿易摩擦の再燃は、マグニフィセント7銘柄のパフォーマンスに直接的な影響を与えた。トランプ前大統領による145%の関税措置に対し、中国は最大125%の報復関税で応じたことで、特にグローバル製品供給に依存する企業にとってコスト上昇と供給不安が現実化した。これにより、AppleやNvidiaといった企業では、輸出制限や販売低迷への警戒感が強まっている。

ただし、その後の90日間の関税猶予措置と、トランプ氏による日韓印との交渉進展発言、中国側の協議検討という報道が緩和の兆しをもたらした。4月10日時点では、マグニフィセント7の合計時価総額が1.5兆ドル回復するなど、一部銘柄は市場の期待を取り戻しつつある。

こうした動向は、企業の地域依存度やサプライチェーンの分散状況によって影響の度合いが異なることを示している。外部環境の急変に対し、迅速かつ柔軟に対応できる構造を持つ企業は、市場の信認を維持しやすい傾向にあり、今後の評価にもその差が如実に表れるとみられる。

Source:Barchart.com