Palantir Technologiesは2025年第1四半期において、米国事業の飛躍的拡大とAI導入の進展を背景に、売上高を前年同期比39%増の8億8400万ドルへと伸ばした。米商業部門では前年比71%増、契約総額8億1000万ドルと過去最高を記録し、顧客数も2桁成長を見せた。
さらに、調整後営業利益は3億9100万ドル、キャッシュフローも3億7000万ドルに達し、財務体質は無借金で安定している。R1 RCMやCitiとの新規提携を含む戦略的パートナーシップも進展し、AIPプラットフォームを軸とした業界別AI展開が加速する一方、好業績にもかかわらず株価は時間外取引で8.75%下落した。過去1年で株価は6倍以上に高騰しており、短期的な利確や期待値の調整が影響した可能性がある。今後は米国商業市場を起点とした持続的成長が注視される。
米商業部門が牽引した成長構造と契約動向の急拡大

Palantir Technologiesの2025年第1四半期は、米商業部門の際立った躍進が全体の業績を押し上げた。同部門の売上は前年同期比71%増の2億5500万ドルに達し、契約総額も過去最高の8億1000万ドルを記録した。この成長は、AIとデータ分析ソリューションを求める企業需要の拡大を示すものであり、特に100万ドル超の契約が139件、500万ドル以上が51件、1000万ドル超も31件と、契約単価の大口化が顕著であった。加えて、米国政府部門も45%の売上成長を遂げ、堅調な契約更新と新規獲得が安定した収益基盤を支えている。
これらの事実から、Palantirが商業と政府の両部門で持続可能な契約ポートフォリオを築きつつあることが読み取れる。とりわけ商業部門の拡張は、顧客の深耕とAI技術の価値訴求の成果とみなされる。ただし、成長の質を測る上では、今後の顧客維持率や契約更新率も重要指標となり、短期的な契約件数の増加に過度に依存する構造には一定の警戒が必要である。収益の安定化と継続性確保には、製品の進化と顧客体験の強化が問われる局面に差し掛かっている。
財務体質とキャッシュフローの健全性が示す中長期基盤
Palantirの四半期ベースでの調整後営業利益は3億9100万ドルで利益率は44%、調整後フリーキャッシュフローは3億7000万ドル、同42%と、収益性と資金流動性の両面で高い水準を示した。現金および米国債を含めた保有資産は54億ドルにのぼり、同社の無借金経営体制が堅固な財務基盤を支えている。「Rule of 40」に基づくスコアは前年の57%から83%へと上昇し、成長と利益性のバランスが著しく改善した。
このような強固なキャッシュポジションは、次なる成長投資や買収、研究開発の加速に向けた柔軟性を高めている。また、株主価値向上の観点からも、自己株式取得や配当の可能性に余地を残す内容といえる。ただし、収益構造が特定の産業領域や米国市場に偏重している点は、グローバル展開や収益多様化の観点からは今後の焦点となる。資金余力を活用し、より広範な産業との連携や新市場への進出を図る戦略的展望が問われる局面にある。
株価下落の背景と市場の期待水準の調整
四半期業績および2025年通期のガイダンスが共に堅調であったにもかかわらず、Palantirの株価は時間外取引で8.75%下落し112.94ドルとなった。この動きは、業績発表前に株価が52週高値の125.41ドルに近づいていたことからも、投資家の利益確定やガイダンスに対する期待水準が過度に高まっていた可能性を示唆する。通常取引では0.3%の小幅下落に留まっており、短期的な調整との見方もある。
市場においては、Palantirが急激な株価上昇を遂げた過去1年の反動として、業績の上振れだけでは株価を一段と押し上げるには至らなかったという冷静な評価が働いた可能性がある。ガイダンスに含まれる成長率は十分に高いが、既存株主や新規投資家の視線はすでにそれ以上の成長曲線を織り込んでいたと考えられる。今後の株価動向は、AI市場全体の成長性に加え、Palantir自身がいかにして差別化を継続できるかに左右される構図が続くであろう。
Source:Investing.com