2024年に174%の株価上昇で世界最大の企業となったNvidiaは、2025年に入りAppleとMicrosoftに次ぐ3位へと転落した。S&P 500を上回る15%超の株価下落と1兆ドルの時価総額喪失という厳しい現実の中、同社の復権の可能性は依然として議論の的である。

注目すべきは、こうした下落がNvidia固有の失速ではなく、マクロ経済の逆風と地政学的緊張に起因する点である。AI開発を巡るグローバルな投資熱は継続しており、Alphabetの750億ドルをはじめ、MicrosoftやMetaも積極姿勢を崩していない。この動向は、AIチップ市場を牽引するNvidiaにとって長期的な追い風となりうる。

競合他社の攻勢や市場全体の変調が続くなかであっても、AI技術の中心を担う企業としての地位は揺るがず、時価総額4兆ドル到達というかつての野望が現実味を帯びる可能性は消えていない。

Nvidiaの時価総額急落とマクロ経済の影響

2024年に174%の株価上昇を記録し、時価総額で世界首位に立ったNvidiaは、2025年に入ってからの3か月で15%以上の下落に見舞われ、約1兆ドルの評価を失った。これはS&P 500全体の下落率を大きく上回るものであり、AppleとMicrosoftに続く3位に転落する結果となった。この変動は、同社に限った事情ではなく、マクロ経済全体に起因する部分が大きいとされている。

特に、金利の不確実性、インフレ圧力、地政学的緊張といった要因が投資家心理を冷やし、メガキャップ株全体に対するリスク回避の動きを促進している。Magnificent 7と称される主要テクノロジー企業の多くが同様の株価調整を受けており、Nvidiaもこの波に巻き込まれた格好である。企業固有の業績悪化や技術的問題が要因ではない点は見逃せない。

この状況を踏まえると、Nvidiaが短期的に再び世界最大の時価総額企業となることは困難と考えられる。しかし、外部環境の変化が主因である以上、経済指標の改善や市場環境の安定化が進めば、同社の評価が再び上向く余地も残されている。すなわち、現在の時価総額の後退は、構造的な失速を示すものではない可能性がある。

AIインフラ投資の継続がNvidiaの価値を支える

AlphabetがAI関連設備に750億ドルを投じると発表したことを皮切りに、MicrosoftやMeta Platformsなどのテック大手も相次いで同分野への投資を拡大させている。AIの基盤構築に不可欠なGPU供給を担うNvidiaは、こうした動きの中核に位置づけられており、業界全体の資本支出が同社の長期的成長に追い風を与えている。

2024年の決算発表を通じて、主要プレイヤーがAI投資を維持または加速している事実は、Nvidiaの製品需要が一過性でないことを示唆している。短期的な株価変動を超え、技術革新とインフラ整備の連動によって、同社は依然としてAI革命の中心的役割を担っていると位置付けられる。

時価総額が4兆ドルに到達する企業としてNvidiaが候補に挙げられる背景には、このような継続的需要の存在がある。今後の展開においては、製品開発力と供給能力に加えて、顧客企業との戦略的パートナーシップがさらに重要性を増すと見られる。AI投資が経済環境の変動に対してどれだけ粘り強く続くかが、同社の市場評価回復の鍵となる。

Source:Watcher Guru