Microsoftは、Windows版Outlookにおける新旧バージョン間の切り替え仕様を抜本的に見直す方針を明らかにした。PSTファイル非対応やオフライン機能の不足に不満を抱くユーザーからの声を受けた対応であり、従来は新OutlookからクラシックOutlookに戻る際、アプリ全体の切り替えが必要だった。

今回の変更では、ユーザーは新Outlookを閉じることなくクラシックOutlookを同時に起動・操作できるようになり、用途に応じた柔軟な運用が可能となる。切り替え方法はトグル選択式に改められ、作業中の中断やリソース消費の軽減も期待されている。

この仕様変更は2025年5月中旬から段階的にロールアウトされ、6月から7月にかけて全ユーザーへの展開が完了する予定である。IT管理者にとっても運用負荷軽減に資する更新となる見込みだ。

Outlook切り替え機能の刷新でセッション中の併用が可能に

Microsoftは、Windows向けOutlookにおける新旧バージョンの切り替えプロセスを段階的に刷新する。2025年5月中旬から始まる第1フェーズでは、新OutlookからクラシックOutlookへの移行時において、新Outlookが自動的に最小化される動作が導入される。

続く第2フェーズ(6月初旬〜7月下旬)では、ユーザーは新Outlookを終了せずにクラシック版を直接開くことが可能となる。これにより、タスクバー上で両バージョンを並行利用できる環境が整備され、ユーザーの操作性が大きく向上する。

今回の機能改善は、PSTファイルの非対応やオフライン機能の欠如といった新Outlookの仕様に不満を持つ多くの利用者の声を反映したものである。

Microsoft 365スペシャリストのアルバート・ヴァン・グロンデレ氏がLinkedInにて明らかにした公式見解によると、従来の「完全切り替え」モデルは柔軟性を欠いていた。今後は、ワンクリックで即座にクラシックOutlookが起動し、ユーザーの業務中断リスクを最小限に抑える構成が標準化される。

業務運用に与える影響と管理者視点での留意点

今回のOutlook切り替え仕様の見直しは、エンドユーザーの体験向上に留まらず、IT運用管理の現場にも一定の変化をもたらすと考えられる。

特に、Microsoftが言及するように、GCCテナント(政府機関向けMicrosoft 365環境)を含む全世界への適用は、セキュリティ要件の厳格な組織における展開戦略に新たな視点を求めることになる。切り替え操作が容易になった結果、両バージョンが併存する状態が常態化し、運用ポリシーの再設計やユーザーサポート体制の見直しが必要となる可能性がある。

また、新OutlookとクラシックOutlook間でのデータ連携やUI差異による混乱も想定されるため、教育コンテンツの整備や社内通知の徹底が求められる。切り替え機能の利便性が高まる一方で、バージョン間の利用制限を統制するグループポリシーの設計にも配慮が必要となる。新機能が全社導入される前に、管理者が段階的に運用シナリオを検証することが、安定した業務移行を実現する上で鍵を握る。

Source:Windows Report