サムスンがGalaxy Z Foldシリーズで唯一採用してきたアンダーディスプレイカメラ(UDC)技術について、アップルが再び関心を示しているとの新たな噂が中国のWeibo上でリークされた。情報筋Digital Chat Stationによれば、アップルは2026年に登場予定のiPhone 18 ProおよびPro Maxに、Face IDセンサーを画面下に埋め込むUDC技術を試験中とされる。

これは従来の「低価格モデルから先にUDCを導入する」という2023年時点の報道とは異なる方向性であり、カメラのディスプレイ切り欠きを最小限に抑える新たな試みとなる。ただし、自撮りカメラ用ではなく顔認証のみに限定される見込みで、画像品質の問題は比較的重要視されない可能性がある。

一方、サムスンは既に2021年からUDC技術をFoldシリーズに搭載してきたが、他社での普及には課題が残る。今回のアップルの試験が技術革新の引き金となるかは未確定だが、その動向は業界内の注目を集めている。

アップルがFace ID用アンダーディスプレイカメラの試験に着手か

中国のリーカーDigital Chat StationがWeibo上で伝えた情報によると、アップルはiPhone 18 Proおよび18 Pro Maxに向け、Face ID専用のアンダーディスプレイカメラ(UDC)技術を試験中とされる。これは従来のディスプレイ切り欠き構造を刷新し、画面下にセンサー類を隠蔽するというもので、サムスンがGalaxy Z Foldシリーズで採用する自撮り用UDC技術とは異なる用途である。

この技術は2026年のモデル発表に向けた準備とされ、iPhone 18および18 Airは引き続き従来型の2+1ディスプレイ切り欠きを採用する計画が示唆されている。2023年時点の報道では、アップルがまず低価格モデルにUDCを導入するとの予測もあったが、今回の噂はその計画変更を示唆する要素を含む。

また、UDCのサプライヤーがサムスンなのか他社なのかは現時点で不明であり、Appleとサプライチェーンの関係にも新たな注目が集まるだろう。

Face ID用UDC採用が示す設計思想の転換

Face ID用のUDC導入は、従来のiPhoneデザインの美学を再構築する試みとして注目される。これまでノッチやダイナミックアイランドに依存してきたデザインから、センサーを視界から消し去ることで、より一体感のあるフルスクリーン体験を目指す可能性がある。

この技術転換には、画質の劣化というUDC固有の欠点が問題とならない点が大きい。なぜなら、Face IDは画像撮影ではなく顔認証用の赤外線センサー群を中心とするため、通常のカメラに求められる精密な画質は必要とされないからだ。

加えて、折りたたみ式iPhone向けのUDC活用の可能性にも一部報道は触れており、Appleが一気に複数の製品カテゴリでデザイン最適化を進めるか否かが問われている。いずれにせよ、Face ID用UDCは単なる技術導入ではなく、今後のデバイス設計哲学を示す布石として受け止めるべきであろう。

サムスンの先行事例から読み解くUDC市場の課題と期待

サムスンは2021年、Galaxy Z Fold 3で世界初のUDC搭載スマートフォンを投入し、その後Foldシリーズ(Fold SEを除く)で技術展開を続けてきた。しかし、UDCの採用は他社に広がらず、主因はカメラ画質の低下にあるとされる。

画面越しの撮影は光の透過率や解像度に難があり、特に自撮り用途では満足度を得にくい。こうした背景を踏まえると、アップルのFace ID専用UDCの試みは、サムスンが克服できなかった技術課題を回避する異なるアプローチと位置づけられる。

仮にこの試験が成功すれば、UDC市場は「カメラ用途」から「センサー用途」へと応用範囲を広げ、他社への波及効果を生む可能性があるだろう。だが現時点では、アップルが実際の製品投入に至るか否か、またその技術的完成度は如何ほどかについて、確定的な見通しは立っていない。

Source:SamMobile