Appleは2024年に発表したApple Intelligenceの構想を現実にすべく、iPhone 17 Proモデルに12GB RAMを搭載する計画を進めている。韓国ETNewsの報道によれば、同社はSamsungからのメモリ供給を70%にまで拡大し、高度なAI処理に備えた構成を採用する方針であるという。

AppleはiPhone 16シリーズ全体に8GB RAMを導入したが、iPhone 17では一部モデルでさらに性能を引き上げる可能性が高まっている。Apple Intelligenceの主力機能がこれまで期待外れに終わった経緯を踏まえ、今回のRAM強化はその再起に向けた布石と見られる。

iPhone上でのAI処理をクラウドに頼らずデバイス上で完結させるAppleの設計思想は、RAM容量の増加によって初めて真価を発揮すると考えられる。来月のWWDCでは、iOS 19と連動した次世代AI機能の詳細が明かされる見通しだ。

iPhone 17 Proにのみ施される12GB RAMの採用方針とサプライチェーンの実態

AppleはiPhone 17 Proシリーズにおいて、12GBのRAMを搭載する計画を進めている。これはApple Intelligenceの処理能力向上に不可欠な設計であり、ETNewsの報道によれば、Appleはそのメモリ供給の約70%をSamsungに委ねるという。

残りの供給はSK HynixとMicronが担うとされるが、実際の製造規模や配分の正確な数値は明らかにされていない。Appleは例年、新型iPhoneの初年度に最大9000万台を製造し、年間販売では2億台を超えるが、今回の報道で言及された「1億台」の根拠には曖昧さが残る。

iPhone 17に搭載されるメモリのコストは従来の8GB LPDDR5に比して約1.5倍とされており、仮に全Proモデルへ12GBのRAMが実装されれば、サプライヤーとAppleの間で緻密な価格交渉が進められていると見られる。

ただし、この増強はPro以外のモデルに波及する兆しはなく、Appleは上位機種限定でAI処理の高度化を試みているとも考えられる。供給元のSamsungはこの分野で強固な地位を築いており、Appleとの戦略的パートナーシップを再強化するかたちとなる。

Proモデルのみを対象とした12GB RAM搭載の動きは、AppleがAIスマートフォンの中でも性能格差を明確化しようとしている兆候とも取れる。結果として、iPhone 17シリーズは単なる毎年恒例のスペック更新ではなく、次世代AI活用を見据えた構造的転換点となる可能性がある。

Apple Intelligence再始動に向けた基盤整備としてのRAM拡張

AppleはWWDC 2024にて、Apple Intelligenceを通じて音声操作と文脈認識に基づいたスマート体験を提供する計画を打ち出した。しかし、実際のiOS展開において、Siriの高度化やアプリ横断的な音声操作は未だ実現されておらず、iPhone 16シリーズの購入者には落胆の声も少なくなかった。

とはいえ、Appleはこの構想を放棄したわけではなく、むしろiPhone 17におけるRAM強化により、AI処理の基盤をハードウェアレベルで再構築しようとしている。iPhone 16では全モデルに8GB RAMを搭載しており、これまでのAppleの製品戦略と比較しても異例の仕様統一であった。

その一方で、AIタスクの多くをオンデバイスで完結させるAppleの設計哲学において、処理能力のボトルネックとなるのがRAM容量である。特に、クラウド依存を避けるApple Intelligenceの性質上、デバイス内リソースの確保は不可避の課題である。

Appleは、Macではすでに最低16GB RAMを標準化しており、高価格帯のiPadにも同様の方針を取る可能性がある。iPhoneにおける12GB RAMの導入は、この流れに合致する施策といえる。6月のWWDC 2025ではiOS 19のAI機能が正式発表される見込みだが、今回のRAM増強がその基盤にあることは疑いようがない。

今後、AppleがAIの質と速度を重視する姿勢をどこまで具現化できるかが、スマートフォン市場での優位性を左右する要素となる。

Source:BGR