サムスンが提供する「セキュアフォルダ」は、アプリや機密データを隔離し保護する機能として知られているが、近年報告されていた深刻な脆弱性がOne UI 8で修正される見通しとなった。問題の原因は、既存の「ワークプロファイル」構造に起因し、条件次第で隠したはずのデータが第三者に露見する事例が確認されていた。

新たなリークによれば、サムスンはGoogleの「プライベートスペースAPI」を活用する方向に舵を切り、従来より厳重な暗号化とアクセス制御が実現される可能性が高いという。さらに、フォルダ非表示時の仕様も刷新され、完全な暗号化と通知停止が保証される形に改められる見込みである。一方で、One UI 7の提供が依然として遅延しており、次期アップデートの時期も不透明なまま残されている。

One UI 8で導入予定のプライベートスペースAPIとは何か

One UI 8でサムスンが採用を進めている「プライベートスペースAPI」は、これまでのセキュアフォルダの根幹を大きく見直すものである。従来は「ワークプロファイル」に依存してデータ隔離を実現していたが、この方式では特定の状況下でデータが簡単に露出してしまう問題が指摘されていた。今回の新システムはGoogleがAndroid 15で導入した「プライベートスペース」に似た仕組みを用い、より強固な暗号化とアクセス制御を実現する設計がなされるという。これにより、セキュアフォルダが非表示状態の場合、内部のアプリやファイルは動作を完全に停止し、外部アプリやフォトピッカーなどからも完全に隔離されることになるとされる。

さらに、新たな仕様では非表示時の説明文も更新され、「アプリアイコンは削除され、データは暗号化される」との明確な案内が追加されるなど、従来より安心感が高まる内容となっている。これらの変更が正式リリース時にどの程度正確に再現されるかは未知数であるが、少なくとも現状の問題点を解消する大きな一歩であることは間違いないといえる。

セキュリティの欠陥がユーザー体験に与えていた影響

今年初めに報告されたセキュアフォルダの不具合は、プライバシーを重視する多くの利用者に不安を与えていた。特に、ワークプロファイルの構造上、サードパーティ製アプリやシステムの一部機能からデータが容易に確認できるケースが存在し、フォルダの意義そのものが揺らぐ事態となっていた。Android Authorityなどの複数の報告によれば、フォルダ内部の情報が完全に保護されていなかったことが問題視され、サムスン側の対応が待たれる状況が続いていた。

One UI 8ではこの問題がようやく解決に向かう可能性が浮上しており、セキュアフォルダを重要視している利用者からは期待が高まっている。ただし、One UI 7の提供自体が遅れていることを考慮すると、今回の改修が即座に恩恵として実感できる時期は見通せない部分も残る。現段階では、こうした課題が確実に解消されるまでは慎重に様子を見守る必要があると言えそうだ。

One UI 8のリリース時期とサムスンの今後の課題

現在、One UI 8はAndroid 16をベースにした大型アップデートとして準備が進んでいるが、具体的なリリース時期は公式に発表されていない。これに加え、すでにOne UI 7の提供が遅れている現状は、ソフトウェア更新を待つ利用者にとって不満の種となっている。今回のセキュアフォルダ修正に関するリークは一定の安心材料となるが、実際の展開時期が見えない点では課題も多い。

さらに、GoogleのAndroid 15以降で「プライベートスペース」のような独自機能が標準搭載され始める中で、サムスン独自機能の価値をどう高めていくかも焦点となる。今後は単なるバグ修正にとどまらず、ユーザーが求める使い勝手や信頼性をさらに向上させる動きが求められることになりそうだ。今回の動きはその第一歩にすぎず、継続的な改善が期待される場面である。

Source:Android Headlines