2025年5月6日、Palantir株は好決算にもかかわらず10%を超える下落を記録した。減益傾向や海外事業の減速が懸念材料とされた一方、AI主導の米国商業部門は年換算で10億ドルに達し、成長性に対する強い期待も根強い。Wedbush証券のDan Ivesは「AI界のメッシ」と評し、今後最大140ドルまでの上昇余地を見込む強気姿勢を崩していないが、ウォール街では依然として中立的な評価が支配的であり、コンセンサス目標株価は84ドルと慎重な見方が続いている。

好決算にも関わらず株価が急落 減益圧力と海外事業の停滞が影響

Palantir Technologiesの2025年第1四半期決算は、売上・ガイダンスともに市場予想を上回る内容であったにもかかわらず、決算発表直後の5月6日に株価は一時10%以上下落した。要因として、アナリストのLouie DiPalmaは利益率の継続的な低下と、海外商業部門における前年同期比での減収を挙げている。収益成長を示した米国市場とは対照的に、国外市場におけるパフォーマンスの鈍化が、将来的な全体成長見通しへの疑念を招いたとされる。

この動きは、AI関連株としての高評価に依存していたバリュエーションに対する市場の反動とも取れる。Palantirは年初来で70%近く株価を上昇させていたため、短期的な利益確定売りや期待先行の修正が一気に顕在化した側面もある。

業績の絶対水準よりも、成長の質と継続性に対する懸念が投資家のセンチメントを左右している。米国市場における商業収益の規模は10億ドルに到達しているが、それがグローバル規模での確実な成長を裏付けるものとはまだ言い切れない。

AI市場での戦略的地位と強気評価 Wedbushは最大140ドルの上昇余地を提示

Wedbush SecuritiesのDan Ivesは、Palantirを「AI界のメッシ」と評し、現水準から最大で140ドルへの上昇余地を見込んでいる。これは約30%の株価上昇を示唆する強気な見通しであり、同社のAI主導型ビジネスモデルに対する期待感の高さを反映している。実際、米国商業部門では受注と収益の拡大が継続しており、年間で10億ドル規模にまで成長したことがCEOアレックス・カープの発言からも確認された。

さらに、同社は2025年通年の業績見通しを上方修正しており、成長に対する自信が企業側からも明確に示された。Ivesは3年以内にPalantirの時価総額が1兆ドルに達する可能性を示唆しており、AIセクター内での中長期的なプレゼンス拡大に注目が集まっている。

ただし、この見通しは明確な数値根拠に基づくものではなく、市場環境や競合状況次第では変動の余地も残る。強気な目標はあくまで理論上の最大値として捉えるべきであり、投資判断には慎重さが求められる。

市場評価の分裂 強気予想とウォール街コンセンサスの乖離

現時点でのPalantir株に対する市場のコンセンサス評価は「ホールド(中立)」であり、平均目標株価は84ドルに設定されている。これは現在の株価水準からおよそ20%の下落余地を含んでおり、Wedbushの強気な見通しとは大きく乖離している。多くのアナリストは、PLTRの高いバリュエーションと収益の不均衡に対して懸念を抱いており、慎重な姿勢を崩していない。

この評価の分裂は、AIブームに乗る一部の期待先行型評価と、財務面の実質性を重視する保守的評価との間にある温度差を反映している。株価上昇の継続には、技術力や市場占有率の高さだけでなく、持続可能な利益成長が裏打ちされる必要がある。今後のカギは、米国以外の地域での商業展開の進捗と、利益率の回復動向にある。短期的な調整局面は想定されるが、企業の収益構造が整えば、再評価の余地も同時に生まれる可能性は否定できない。

Source:Barchart.com