Windows 10の公式サポート終了が目前に迫る中、Microsoftは法人市場を主眼に、Windows 11とCopilot+ PCの導入を積極的に推進している。同社は、Windows 11 Proを搭載したSurfaceデバイスにより業務ワークフローが最大50%高速化し、セキュリティインシデントが62%削減されたとする調査結果を公表した。
このデータは、Microsoftの委託によりPrincipled Technologiesが実施したものであり、旧世代ノートPCとの比較に基づくものではあるが、同社が改めて強調した点に注目が集まっている。
一方で、Windows 11へのアップグレード対象外となる多数の旧型PCの存在や延長サポートの限界など、企業の移行計画において無視できない課題も浮き彫りになっている。
Surface Copilot+ PCの性能検証とMicrosoftの強調する導入効果

Microsoftが発表したデータによれば、Windows 11 Proを搭載したSurface Copilot+ PCは、従来のWindows 10ノートPCと比較して業務ワークフローを最大50%高速化できるとされている。この数値は、コンテンツの作成や文書管理、データ分析といった日常業務におけるパフォーマンスを計測した結果であり、IT部門向けに設計されたSurface IT Pro Blogにおいても、業務効率の向上が明確に示されている。
また、セキュリティ分野においては、Windows 11の導入によりセキュリティインシデントが62%減少したとする結果も示されており、これはMicrosoftが委託したPrincipled Technologiesによる調査に基づいている。調査対象は業務用ノートPCの一般的な使用環境であり、結果の信頼性については一定の検証がなされているものの、同社の意図に沿った評価基準が含まれている点には留意すべきである。
Microsoftがこれらの数値を再度強調した背景には、2025年10月のWindows 10サポート終了が迫る中で、企業のシステム更新を促進する狙いがある。特にITインフラの刷新に慎重な部門に対し、数値を用いた説得材料を提示することで、導入障壁の低減を図っていると考えられる。
旧型PCの移行困難と延長サポートの現実的限界
Windows 11の推進と同時に顕在化しているのが、Windows 10からのアップグレードが不可能な既存PCの大量存在である。これは、Windows 11の導入要件に適合しないプロセッサやセキュリティチップを搭載したデバイスが、依然として多く現場で稼働していることに起因する。こうした環境では、OSの更新のみでは対応が困難であり、実質的にはハードウェアの刷新を伴う大規模な投資が避けられない。
Microsoftは、これらのデバイスに対し1年間の延長セキュリティサポートを有償で提供するとしているが、その措置はあくまで一時的な対応にとどまる。2025年10月以降、本格的なサポート終了が現実となれば、古いインフラを維持するリスクは顕著に高まる。特にセキュリティ面において、脆弱性の対応が迅速に行われないことによる被害拡大が懸念される。
こうした背景から、企業に求められるのは、延命措置に依存する短期的な運用判断ではなく、全体最適を前提とした中長期的なIT資産の見直しである。Surfaceを含むCopilot+ PCの導入が一部で進展しているものの、全社規模の更新には予算・人的リソース・業務調整のいずれにおいても課題が多く、実行段階での困難は今後さらに顕在化することが予測される。
Source: TweakTown