2025年4月、ウォーレン・バフェットの資産が他の富豪とは対照的に増加し、注目が集まっている。彼が率いるバークシャー・ハサウェイは、過去最高の3,340億ドルという現金ポジションを維持しつつ、わずか5社に資金を集中させており、その中でも特に評価が高いのがコカ・コーラ、バンク・オブ・アメリカ、アマゾンの3社である。

コカ・コーラは関税の逆風下でも業績を堅持し、21人中21人のアナリストが「買い」と判断。バンク・オブ・アメリカは保有比率を一部削減しつつも収益性と安定性を評価され、依然としてポートフォリオの中核にある。アマゾンに関しては構成比は小さいが、テクノロジー株としては異例の高評価を受けており、53人中46人のアナリストが「強い買い」としている。市場環境が揺らぐ中でなお信頼される3銘柄に共通するのは、堅実な事業基盤と将来成長性の両立である。

コカ・コーラが示す安定的な収益力と世界的ブランドの強さ

2025年第一四半期、コカ・コーラ(KO)は市場予想を上回る利益を計上し、ウォール街の21人のアナリスト全員から「強い買い」評価を獲得している。競合のペプシコが業績見通しを引き下げた中でも、コカ・コーラは年間ガイダンスを維持し、オーガニック売上高成長率5〜6%、1株利益成長率2〜3%を目指すと発表した。CEOジェームズ・クインシーは、関税の影響について「管理可能」とし、世界各地に現地拠点を持つ体制が業績を下支えしていると強調した。アナリストによる平均目標株価は79.30ドルで、現株価から約11%の上昇余地が見込まれている。

これらの数値と評価は、コカ・コーラの収益構造が景気の変動に左右されにくいことを示している。生活必需品である飲料事業に加え、圧倒的なブランド認知度、グローバルな販売ネットワークが同社の競争優位性を支えている。バフェットがこの銘柄を数十年にわたって保有してきたことも偶然ではない。不況時においても一定の需要が継続する商品特性に加え、財務の健全性が市場での信頼を維持する背景にある。

バンク・オブ・アメリカの保有減少とそれでも維持される中核的地位

ウォーレン・バフェット率いるバークシャー・ハサウェイは、バンク・オブ・アメリカ(BAC)の保有比率を13%超から9%未満に引き下げたが、依然として同社はバークシャーの主要5銘柄の一角を占めている。BACは2025年第1四半期に純利益74億ドルを計上し、預金と運用資産の両面で堅調な成長を続けている。ウォール街のアナリスト23人のうち、22人が「中程度の買い」または「強い買い」を支持しており、「保留」はわずか1人にとどまる。平均目標株価は48.93ドルで、現水準から約20%の上昇が想定されている。

バフェットの保有減少は、銀行業界全体のリスクに対する慎重な姿勢と、185%を超える投資利益の実現が背景にあるとみられる。だが、BACの依然として高い収益性と顧客基盤の厚さは、長期的視点で見た場合に魅力を失っていない。銀行セクターのなかでも、デジタルサービスへの投資や資産運用部門の成長が進んでいる点は他行との差別化要因である。ポートフォリオ内の比率を調整しながらも保有を続ける判断は、短期的な利確と中長期的な成長のバランスを意識した動きと読み取れる。

技術株への慎重な賭けとしてのアマゾン保有の意味

アマゾン(AMZN)は、バークシャー・ハサウェイのポートフォリオにおいてわずか0.82%という構成比に過ぎないが、ウォール街からの評価は極めて高い。バフェットは約22億ドル相当の1,000万株を保有し、「もっと早く投資しておけばよかった」とも述べている。現在、53人のアナリストのうち46人が「強い買い」、5人が「中程度の買い」、わずか2人が「保留」としており、平均目標株価は244.40ドルで約31.5%の上昇余地が見込まれている。EC事業だけでなく、AWS(クラウド)や広告事業など収益源の多様化がその評価の背景にある。

本来テクノロジー株に対して慎重だったバフェットにとって、このアマゾンへの出資は投資方針の変化を映し出す象徴的な一手とも言える。中でも同社のキャッシュフロー創出能力と顧客ロイヤルティは、長期的な資本成長における鍵となる。今後の金利動向やテック株全体の変動リスクを踏まえれば、この規模感での保有は慎重なポジション取りとも捉えられるが、それでもアナリストによる支持の強さは、依然として市場における同社の競争力を物語っている。

Source:Barchart