2025年に入ってからの株式市場の軟調の中でも、特に苦境にあるテスラ(TSLA)に対して、70%の株価上昇余地があるとの見方が一部で示されている。だがそれは、1.7兆ドル規模とされる自動運転車市場、とりわけロボタクシー事業への成功に強く依存している。
ジェフリーズは目標株価を300ドルに設定し「買い」判断を継続する一方、電気自動車販売の低迷や先行き不透明感から「評価困難」とも指摘する。マスク氏が掲げる大胆な転換戦略には期待が寄せられるが、規制や市場成熟のハードルを踏まえると、すべてが予定通りに進む保証はない。
テスラの70%上昇余地はロボタクシー市場の成否にかかる

イーロン・マスク率いるテスラは、2025年の株式市場全体の低迷に直面する中で、アナリストの一部から70%の株価上昇余地があると評価されている。その鍵を握るのが、自動運転車の進化形であるロボタクシー市場である。現在、この市場は約1.7兆ドルの規模とされ、今後10年で3.9兆ドルにまで拡大するとの見通しが存在する。テスラは単なるEVメーカーから脱却し、自動運転とロボティクス分野の先駆者としての地位確立を目指している。
この展望は、マスク自身の言葉によると、2026年までに数十億ドル規模の新たな収益源になるという。ただし、市場成長の前提には連邦規制や安全基準の整備があるため、現実的なハードルも高い。ロボタクシーによる利益貢献が遅れる可能性がある中で、テスラがこの戦略に過度に依存していることが、逆にリスクともなり得る。短期的には株価の下支え材料となるものの、長期的に信頼を勝ち得るには、実証された成果が不可欠である。
投資家の評価が分かれる中で求められる「現実的な成長戦略」
テスラ株はジェフリーズをはじめとする一部の投資機関から「買い」の評価を得ており、目標株価は300ドルと設定されている。しかし、同時に「評価が難しい」という見解も示されており、市場の評価は分かれているのが実情である。特に問題視されているのが、EV販売台数の減速と、短期的な収益の鈍化である。マスクが政治的活動から距離を置き、経営に集中する姿勢を明言したことはポジティブな材料だが、それだけで信頼が回復するわけではない。
ロボタクシー事業という未来志向の戦略には確かに潜在力があるが、それはあくまで将来の可能性に過ぎず、現時点で収益に直結する保証はない。自動運転に関する規制の不透明性や技術的課題が残る中、テスラに求められるのは、既存事業の安定と新規事業の段階的展開である。評価の二極化が進む今こそ、マーケットへの信頼回復には、現実を踏まえた戦略と着実な実行力が求められている。
Source:Watcher Guru