ライマタールAGの株価が1年で206.83%上昇し注目を集める中、その高値に二の足を踏む投資家にとって、EU再軍備計画の恩恵を受ける他の防衛銘柄が新たな選択肢となりつつある。フランスのダッソー・アビエーションは2025年に62.23%上昇しているが、欧州防衛支出の本格的な織り込みは進んでいない。

一方、イタリアのレオナルドSpAも82.19%の上昇を記録しており、業績指標の強さから一定の評価を得ている。ただし、両社ともにアナリストの見解は分かれており、慎重な姿勢も求められる。過熱するRHM株に代わる現実的な投資先として、これら二社の今後の展開が注視される。

ライマタールの急騰がもたらした投資環境の変化

ライマタールAG(ETR: RHM)の株価は、過去12ヶ月で206.83%上昇し、528.80ユーロから1,622.50ユーロへと大幅に値を上げた。この急騰は、同社の四半期業績の好調さ、欧州連合が掲げる8,000億ユーロ規模の再軍備計画、ならびに他の防衛企業との連携体制が評価された結果である。

RHMの急伸により、防衛セクターへの投資意欲が高まる一方で、既に割高と見る声も強まっている。実際に、アナリストが依然強気の姿勢を維持する一方で、現時点での新規投資には慎重な姿勢を求める見解もみられる。

このような背景の中、EUの安全保障強化に乗じた投資機会を模索する市場参加者にとって、ライマタールに続く銘柄選定が喫緊の課題となっている。RHMの事例が示すように、防衛支出の拡大が企業価値に与える影響は大きく、今後も他銘柄に波及する可能性は否定できない。ただし、短期的な株価上昇に飛びつくのではなく、中長期的な戦略と企業の基礎的体力に基づいた選別眼が求められる局面に入っている。

EU防衛株の次なる焦点として浮上するダッソー・アビエーション

フランスの防衛大手ダッソー・アビエーション(EPA: AM)は、2025年に入ってから62.23%の株価上昇を記録しており、RHMに続く有力な選択肢として市場で注目されている。2024年の業績も堅調で、前年度比で複数の指標が改善していることから、同社の成長トレンドは継続しているとみられる。現在の株価は317.80ユーロで取引されており、依然として再軍備計画の本格的な恩恵を完全には織り込んでいないとの見方もある。

一方で、投資判断には慎重さも求められる。大手証券のジェフリーズは、ダッソーの格付けを「利益確定(take profit)」に引き下げており、短期的には上値余地が限定的と評価されている可能性がある。市場環境が防衛関連に強い追い風を与えている今こそ、価格に対する成長ポテンシャルやリスクバランスを精査する視点が重要となる。中長期的な防衛支出の持続性を前提とするならば、まだ株価に織り込まれていない要素が残されているとする向きもあり、選好するタイミングが焦点となる。

イタリア発の成長株レオナルドSpAに対する評価の分岐

イタリアのレオナルドSpA(BIT: LDO)は、2025年に入って82.19%の株価上昇を遂げ、47.48ユーロに達している。直近の業績では、売上高と営業利益において力強い成長が確認されており、投資対象としての説得力を増している。加えて、再軍備を進めるEU政策との親和性の高さが、今後の受注機会拡大に繋がる可能性を示唆している。

ただし、アナリストの評価は一枚岩ではない。バーダー・ヨーロッパは4月3日にLDOを「アド(add)」とし、積極的な評価を示したが、シティグループは4月4日に格付けを「ニュートラル」に引き下げた一方で、目標株価を28.4ユーロから48.4ユーロへと引き上げている。このように、短期的な株価上昇の反動や地政学的リスクの変動に対する評価が分かれるなかで、LDOの真の成長力を見極めるには、定量的な業績だけでなく政策動向や産業構造の変化に対する理解が求められる。市場の期待と現実のギャップを冷静に分析する姿勢が重要となる。

Source:Finbold